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令和8年版 厚生労働白書 (91 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/26/dl/zentai.pdf
出典情報 令和8年版 厚生労働白書(9/29)《厚生労働省》
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第1部

これからの医療・介護・福祉の現場で働くことを考える

ものとなるだろう。

そして、このような「遠隔 ICU」を持続的に運営していくための財源も必要である。

6 月に新設された「特定集中治療室遠隔支援加算」の要件に準拠した仕組みを構築し、

2

章

収益化のモデルを構築していく努力が必要となる。

第

病院側が高額な初期コストとランニングコストを持続的に確保するためには、令和 6 年

このような効果が期待される「遠隔 ICU」については、これからの地域医療を支える

観点から、その運用を全国に普及推進していくことが期待される。

全国的に、集中治療専門医の数は少なく、都市部の大病院に集中している。「遠隔

ICU」があれば、地方の病院のみならず、都市部の病院で専門医が不在の夜間であって
も、大病院と同等の質の高い治療を受けることができる可能性が広がってくる。

また、「遠隔 ICU」でモニタリングした集中治療領域における蓄積データの利活用へ

の期待も大きい。蓄積されたビッグデータを解析して「急変の予兆検知」や「抜管タイ
ミングの最適化」など、意思決定支援(AI 活用を含む)を強化できれば、経験の浅い
若手医師や看護師に対する教育ツールとして活用できるだろう。

そして、これからの「遠隔 ICU」はより一層、医師の過重労働を軽減しつつ、24 時

間の医療の質を担保していく形に発展していくことも期待される。現状の仕組みでは、

「支援センター」は医療機関内に設置する必要があるが、様々なセキュリティーを担保
した上で、例えば、将来は、医師宅でのテレワークにより、遠隔 ICU 支援を受ける側

への支援を行えるかもしれない。また、日本と時差のある海外に設置すれば、遠隔 ICU
支援を行う側の医師の夜間勤務も解消されるだろう。

「遠隔 ICU」は今後、技術革新と人材育成、制度整備が一体となって進むことで、地

域や時間の制約を超え、誰もが質の高い集中治療を享受できる社会の実現に寄与するこ
とが期待される。横浜市立大学附属病院の挑戦は、その先駆的なモデルとして、日本の
医療の未来を切り拓く重要な一歩となるだろう。

(3)医療分野におけるテクノロジーの導入にかかる現場における課題と政府の
取組み
①テクノロジーの導入にかかる諸課題

医療分野においては、テクノロジーの導入により、業務負担の軽減や医療安全の向上と
いった効果が確認されている一方で、これらの取組みをより広く定着させていく上では、
医療機関の規模や体制、導入・運用に係る条件の違いに起因する課題も指摘されている。
第一に、医療機関の規模や経営基盤の違いに起因する導入格差の問題が挙げられる。電
子レセプトやオンライン資格確認等の基盤的な ICT は全国的に普及している一方、音声
入力、AI を活用した文書作成支援、画像診断支援 AI、見守り機器等の現場業務の効率化
に資するテクノロジーについては、医療機関全体として導入率が低水準にとどまってお
り、病床規模の大きい医療機関において相対的に利用率が高い一方で、小規模の病院や診
療所では導入が低い傾向がみられる*16。

2040年に向けた、医療・介護・障害福祉の現場における取組み―テクノロジー(ICT、AI、ロボット等)の活用による生産性向上―

これからの「遠隔 ICU」の展望

* 16 竹下康平ほか「医療現場における医療 AI の導入状況の把握、及び導入に向けた課題の解決策の検討のための研究」

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