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令和8年版 厚生労働白書 (123 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/26/dl/zentai.pdf
出典情報 令和8年版 厚生労働白書(9/29)《厚生労働省》
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第1部

これからの医療・介護・福祉の現場で働くことを考える

“ 当たり前の暮らし ” を取り戻すために

林氏は「目指すのは、利用者が自分で選び、挑戦し、失敗し、そしてまた自分の力で立ち上

がれる暮らしです。これは特別なことではなく、本来『当たり前』であるべき姿。その当たり
理念を刷新し、組織をつくり変え、人を育て、外部の知を取り入れ、業界の常識そのものを

AI が拓く「リカバリーの社会実装」-福祉 DX とソーシャル
ワーク 4.0 の未来-(株式会社パパゲーノ)

令和 5 年度において、全国に約 1.5 万ある就労継続支援 B 型事業所(以下「B 型事業所」と

いう。)のうち、パソコンを使った仕事ができる事業所は約 7.5%*1 しかなく、残りの 92.5%
は軽作業、清掃、菓子製造、農作業を中心としている。

しかし、一般の障害者雇用ではパソコンを使ったデスクワークの求人が多く、B 型事業所に

通う利用者の中にも事務作業を希望する者は多い。

こうした希望と現実のギャップを埋めるべく、テクノロジーを積極的に活用した、新しい形

の B 型事業所を運営するのが、東京都杉並区の株式会社パパゲーノ(2022 年創設)である。
同社 CEO の田中氏が掲げる理念は「リカバリーの社会実装」だ。

リカバリーとは、自分が大切にしたい生き方を追求するプロセスを意味する。パパゲーノは

AI をはじめとするテクノロジーを活用し、障害のある人が持つ力を最大限に生かし、地域社
会で自律的に働き続けられる環境づくりを進めている。

AI の力で、障害のある利用者も、支援員も「できること」が拓かれる

パパゲーノ創業当初の事業は、企業向け DX 支援や精神疾患当事者との絵本制作などのアー

ト事業であった。これらの事業を通じて田中氏は、IT スキルやデザイン能力などを有する、
もしくはそれらに関心を持つ障害のある方が一定数いるにもかかわらず、従来型の事業所では
それらの力を発揮できる場が十分に存在しない現実を目の当たりにした。

この課題認識を背景に、田中氏は、「生成 AI が一般に普及し、誰もが手軽に AI を使える社

会へと移行する中で、AI と IT を組み合わせれば、利用者がより価値の高い仕事に携わる仕組

みがつくれるだけでなく、支援員が本来的な個別支援に時間を割けるようになる。日本で最も

支援現場の DX/AI 活用を実践し、リカバリーを体感できる B 型事業所を東京でつくりたい」

との想いから、2023 年に B 型事業所「パパゲーノ Work & Recovery」(以下「パパゲーノ

W&R」という。)を開設した。現在は東京に 4 拠点、140 名以上の障害当事者が在籍する事
業所へと成長している。

パパゲーノ W&R では、IT スキルを既に持つ利用者が力を発揮できるだけでなく、これから

学びたい利用者も挑戦できるよう、多様な企業の DX 支援業務を受託している。

具体的には、企業のデータ入力、資料整備、デザイン制作、動画編集などの業務を請け負

い、利用者は生成 AI を活用しながら作業を進めている。疑問があればチャットツール上の業
務マニュアルを学習した AI に、画面のスクリーンショットを投稿して質問をすれば、AI が即

座に回答してくれる。こうして、テクノロジーを活用し環境調整をすることで、障害のある利

用者が、希望する形で、先端技術を用いて企業の DX 推進に貢献する仕組みが実装されている。
*1

令和 5 年度障害者総合福祉推進事業「就労継続支援事業における生産活動の活性化に関する調査研究」
(令和 6 年 3 月)

令和 8 年版

厚生労働白書

2040年に向けた、医療・介護・障害福祉の現場における取組み―テクノロジー(ICT、AI、ロボット等)の活用による生産性向上―

取材事例⑬

2

章

変えていく。同法人の挑戦は、これからの福祉の世界に新たなスタンダードを提示している。

第

前を取り戻すために、私たちは自らの組織と福祉業界の常識を変え続けていきます」

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