令和8年版 厚生労働白書 (86 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/26/dl/zentai.pdf |
| 出典情報 | 令和8年版 厚生労働白書(9/29)《厚生労働省》 |
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DX で能登の地域医療を守る
(社会医療法人財団董仙会 恵寿総合病院)
能登半島中部の石川県七尾市(人口約 4.4 万人)にある社会医療法人財団董仙会恵寿総合病
第
章
2
2040年に向けた、医療・介護・障害福祉の現場における取組み―テクノロジー(ICT、AI、ロボット等)の活用による生産性向上―
72
院(386 床)は、能登半島唯一の民間の地域医療支援病院である。
「先端医療から福祉まで「生きる」を応援します」をミッションに掲げ、地域において、グ
ループ全体で医療、介護、福祉、健康増進、生活支援をシームレスに提供する「けいじゅヘル
スケアシステム」の中核として急性期医療等を担ってきた。
近年では、DX の取組みを矢継ぎ早に導入し、2024(令和 6)年に発生した能登半島地震
による被災も乗り越えながら、医療の質向上と職員の働き方改革・健康経営等を実現してお
り、その取組みを紹介する。
RPA や生成 AI で本来業務に専念する時間を創出
董仙会理事長補佐として、理事長を支える神野正隆氏は「DX による働き方改革・仕組み改
革を進めれば、職員満足度、生産性、医療の質・量や患者満足度等が向上し、関わる全ての人
の健康と幸せ、ひいては地域に求められる病院につながる」と語る。
恵寿総合病院は、DX の一環として、専門職が本来業務に専念できる時間を創出し、また、
残業時間を削減するために RPA(Robotic Process Automation)や生成 AI を積極的に活用
している。
RPA については、2021(令和 3)年から順次導入し、データ収集や定型業務の効率化を進
め、現在では、約 160 の RPA が稼働し、年間約 13,000 時間の削減効果が出ている。
生成 AI については、議事録やサマリーの作成、カルテ内容要約などに活用している。
議事録の作成は、生成 AI が録音内容を文字起こしして、それを要約するので、あとは最終
チェックをするだけですむ。
医師や看護師等が作成するサマリーや全職員が活用するカルテ内容要約については、電子カ
ルテの中に生成 AI を組み込んでいるため、生成 AI が電子カルテ内から必要な情報を抽出して
短時間で作成することができる。電子カルテベンダーと共同で行った実証実験では、生成 AI
の活用により、サマリー作成業務について、50%もの作成時間削減効果があることが分かっ
た。
こうした RPA や生成 AI の活用の効果もあって、恵寿総合病院の医師及び医師を除く全職種
の時間外労働時間は、月平均でそれぞれ 20 時間弱、1~2 時間程度になってきている。
データ活用を軸に DX を推進
神野氏は、理事長補佐業務等を行う中で「病院には多くの有益なデータがあり、DX を進め
るに当たっては、データを徹底的に活用すべき」という信念を持つに至り、先頭に立って様々
な取組みを打ち出してきた。
関連するデータを分析することで、課題を見つけ、関係部署に伝達し、業務改善につなげる
ために、2021 年に、部門横断で多職種の職員から構成される「データ分析チーム」を立ち上
げた。
また、2023(令和 5)年には、
「データセンター」を設置し、病院のみならずグループ内の
全部署のデータを一元管理し、データの可視化や分析・フィードバック、業務改善支援、RPA
の作成等を行うこととした。これによって、グループ全体として客観的なデータをもとに自発
的な業務改善を促す仕組みを構築した。
入退院等を「見える化」するための体制づくり
データを活用して業務改善を図った事例の一つとして、「入退院管理センター」の設置等が
ある。
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