【参考資料2】令和6年度事業報告書(健康保険事業) (98 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63465.html |
出典情報 | 全国健康保険協会業績評価に関する検討会(第45回 9/25)《厚生労働省》 |
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研究課題名
第4期 ②
『高血圧治療開始前から治療期までの血圧コントロール不良要因とその地域差の解
研究代表者
東北医科薬科大学 医学部 教授
成果の概要
1.研究の全体像
(1年目の
【目的】高血圧治療開始前後の患者特性や薬物治療内容の推移と、その地域差を解明
中間報告)
し、地域特性を考慮した効率的な高血圧予防・治療アプローチ方法を提言する。
明』
目時 弘仁
【方法】2015年度から2023年度に実施された事業者健診および生活習慣病予防健診
のデータを使用し、はじめて降圧薬治療を開始された者1,318,437名を対象とした。
健診時の「血圧を下げる薬の使用の有無」に「あり」と回答した最初の健診を「治療
後健診」、その直前の「なし」と回答された健診を「治療前健診」と定義し、治療前
後の血圧値と患者特性を分析した。また、都道府県別の治療前後の血圧値、血圧コン
トロール(治療後SBP/DBP<130/<80mmHg)割合を比較し、その地域差と脳血管障害死亡
率との関連を生態学的に検討した。さらに、医師偏在指標や病院薬剤師偏在指標など
の医療関連指標と血圧コントロール割合の関連を重回帰分析にて検討した。
【結果】治療開始者の治療前健診時の平均年齢は55.2歳、男性割合は71.1%、平均BMI
は 25.2kg/m2 で あ っ た 。 収 縮 期 / 拡 張 期 血 圧 (SBP/DBP) の 平 均 値 は 治 療 前 健 診 で
148.3/92.4mmHg、治療後健診で 134.1/83.1mmHgであり、高血圧治療ガイドラインに
おける合併症の無い75歳未満の降圧目標(SBP/DBP<130/<80mmHg)達成割合は26.7%に
とどまった。治療前健診時SBPは都道府県間で最大5.28mmHgの差が認められた。治療
後健診時SBPも同様に地域差が認められ、性、年齢、および治療前SBP等を含む共変量
を調整後も、治療後SBPは都道府県間で最大3.28mmHgの差が残存した。血圧コントロ
ール割合にも最大10.14%の地域差が認められ、共変量調整後もこの差は残存した。都
道府県別の治療後SBP/DBP<130/<80mmHgへのコントロール割合(調整後)は2020年度
の脳血管障害死亡率と相関しており、コントロール割合の10%上昇で、脳血管障害死
亡例数が人口10万人あたりで男性では24例、女性では27例減少すると推定された。医
療関連指標との検討では、医師偏在指標や病院薬剤師偏在指標が血圧コントロール
割合と有意に関連した。
【結論】高血圧治療開始前後の血圧値およびコントロール状況には明確な地域差が
存在した。血圧コントロール割合と脳血管障害死亡率の関連が示され、地域ごとの適
切な血圧管理の重要性が示唆された。医師や薬剤師の地域偏在が血圧コントロール
不良の要因の一つである可能性があり、今後、医療資源の地域偏在が血圧管理に与え
る影響とその解決策について、さらなる検討が求められる。
2.テーマ別の実施状況
・研究項目(1):高血圧薬物治療開始者の治療開始時点における特性
マイルストーン①:倫理審査申請
研究の全体像に記載の通り、東北医科薬科大学にて倫理審査申請を実施し、生命
科学・医学系研究倫理審査委員会の承認(2024-2-013)および学長の研究実施許可
を取得済みである(2024年4月30日)。
マイルストーン②:解析環境整備とデータ抽出
解析用端末の準備と整備を行い、リモートデスクトップによる解析が可能な環
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