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【参考資料2】令和6年度事業報告書(健康保険事業) (94 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63465.html
出典情報 全国健康保険協会業績評価に関する検討会(第45回 9/25)《厚生労働省》
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Association Congress にて口頭報告として採択された。分析結果はまだ確定してい
ないが、暫定的な結果を得ている。まず、結果変数別のイベントスタディー分析では、
いずれの結果変数についても、また地域単位が都道府県と二次医療圈のどちらであ
っても、二つの点が共通している。第一に、転居前の係数はゼロに近く、健康状態が
悪化した個人が医療の充実した地域に転居しているという仮説は支持されないこと
は、転居による地域の平均医療費の変化が外生的であるという我々の仮定と整合的
である。第二に、転居後の係数は有意に正であり、平均医療費の低い地域から高い地
域に転居すると転居者の医療費も上がり、平均医療費の高い地域から低い地域に転
居すると転居者の医療費も下がることが示唆される。次に平均医療費が上位50%の地
域と下位50%の地域に分けた加法的要因分解では、総医療費については、都道府県単
位の分析でも二次医療圏単位の分析でも、医療費の地域差の大部分は地域固定効果
ではなく個人の特性や固定効果の差で説明される。項目別の分析では、医科入院およ
び医科外来については、総医療費と同様に、地域単位が都道府県でも二次医療圏で
も、医療費の地域差の大部分は個人の特性や固定効果の差で説明される。一方、歯科
については都道府県単位・二次医療圏単位両方の分析で、地域固定効果の差で説明さ
れる割合がかなり大きいことから、二次医療圏レベル、もしくはさらに小さい地理的
範囲での大きな地域固定効果の存在が示唆される。さらに調剤については、地域固定
効果の差で説明される割合が都道府県単位の分析では大きいのに対し、二次医療圏
単位の分析ではかなり小さくなっていることから、都道府県単位で決定される供給
側の要因の重要性がうかがわれる。さらに、総医療費の分散分解分析では、個人効果
平均値と地域固定効果の地域単位での相関係数は都道府県単位の分析でも二次医療
圏単位の分析でも歯科で0に近い以外は負になっている。アメリカの先行研究では相
関係数が正になっていて医療需要の大きい患者が医療供給の充実した地域に住んで
いることが示唆されたのとは逆の結果である。
2.2 調剤薬局による後発品選択についての研究
後発医薬品使用の意思決定過程を通して、ステークホルダーである、調剤薬局・病
院・患者が相互にどのような役割を果たしているかに対する定量的な検証を行った。
各薬局が調剤を行った年間処方箋枚数のうち、枚数が最大であった病院からの割合
を病院集中度、上位5%を占める患者割合を患者集中度とし、これらの指標と薬局の後
発品選択の関係を分析した。病院集中度は処方箋の発行元として特定の医療機関へ
どれだけ依存しているかを示し患者集中度は処方篝の提出元として特定の患者グル
ープにどれだけ依存しているかを示している。病院集中度が後発品選択と強い正の
相関を持ち、患者集中度も後発品選択と正の相関を持つがその大きさは病院集中度
ど比較してかなり小さいことがわかった。さらにこの二つの要因の間の相互作用や
この二つの要因の大きさを左右するその他の条件について分析したところ、患者集
中度と後発品選択との正の相関の有無は、病院集中度の水準や薬局の規模等かどう
かによって変化することがわかった。分析結果を総合すると、特定の病院との関係性
が強い門前薬局では後発品利用が促進され、特に小規模薬局ほどその傾向が強い。一
方、特定の病院との強い関係を持たない小規模なかかりつけ薬局では後発品利用が
少なく、患者との信頼関係が重視されるためブランド名薬剤を好む患者の嗜好によ
り後発品利用の促進が妨げられる可能性が示唆される。分析結果は2024年度に藤本
彩芽・富蓉・野口晴子・丸山士行・中村さやかの共著論文 "Breaking Brand: An

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