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【参考資料2】令和6年度事業報告書(健康保険事業) (88 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63465.html
出典情報 全国健康保険協会業績評価に関する検討会(第45回 9/25)《厚生労働省》
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重い)ことで、受診勧奨により、健診後一年間における糖尿病関連の医療サービス利
用に変化がみられるかを分析した。その結果、受診勧奨により、健診後一年間におけ
る糖尿病関連の医療サービス利用の有意な増加がみられた。また、翌年の健診時の血
糖値や総コレステロール値、運動等の生活習慣にも改善が見られた。ただし、これら
の変化の絶対値は小さかった。中長期的には、健診後2年目までは糖尿病関連の医療
サービス利用がわずかに増加したが、3年目にはその傾向はなくなった。健康につい
ても同様で、2年目までは総コレステロール等に若干の改善が見られたが、1年目より
は非常に小さく、3年目にはほぼ効果がなくなった。よって受診勧奨の効果は、短期
的な可能性が示唆された。また、個人の属性による受診勧奨への反応や医師の診察の
効果の違いを分析するため、健康状態や生活習慣の違いに着目し、詳細な分析を行っ
た。属性に関する変数の数が多いため、機械学習を用いて異質処置効果
(Heterogeneous Treatment Effect,HTE)を推定した。その結果、受診勧奨によって、
健康な人ほど医療利用を増やすが、大きな健康改善が見られるのは健康状態が悪い
人であり、勧奨の効果にミスマッチがあることが分かった。今後は、より健康改善が
期待できる対象に重点的に勧奨を行うことが重要である。また、健康診断等で得られ
る健康に関する情報は、本人だけでなく家族の健診受診行動にも影響を与える可能
性がある(ピア効果)。本研究では、本人が糖尿病の受診勧奨を受けたことが、配偶者
の1年以内の健診受診確率に与える影響に着目した。その結果、本人が糖尿病の受診
勧奨(FBS≧126mg/dl)を受けても配偶者の健診受診率に有意な影響は見られなかっ
た。
2)慢性腎臓病(CKD)の重症化予防に向けた受診勧奨効果の分析
腎臓の機能を表すeGFRの基準値(45 or 60ml/分/1.73m2)を用い、基準値を若干下回
る(低いほうが症状が重い)ことが、健診後一年間のCKD関連医療サービス利用や翌年
の健康のアウトカムに及ぼす影響を、RDDを用い分析した。分析対象は、生活習慣病
予防健診受診者で、健診前12か月間にCKD関連の来院歴のない方とし、2018年以降の
3年分のデータをプールして分析した。まず短期的には、eGFRの基準値を若干下回る
と、受診後1年間のCKDにかかわる医療サービスの利用が増加することが明らかとな
った。基準値を下回ると医療機関への受診が勧奨され、結果として、医療機関を訪問
する患者が増えるためと考えられる。これらの反応は増加率としては大きいが、絶対
値としては比較的小さいものであった。一方で、翌年の健診時の健康のアウトカムの
改善は見られず、また医薬品の使用の増加も観察されなかった。次に、受診勧奨の効
果は中期的により大きくなる可能性があるため、2年後、3年後の影響について分析し
た。健診後1年間、2年間、3年間の推移を比較すると、基準値前後のジャンプは時間
の経過と共に小さくなり、受診勧奨の受療行動への効果は、中期的に減少することが
示唆された。また、eGFRの値の改善効果も観察されなかった。これまでの分析では、
eGFRの基準値を超えることで、CKD関連の医療サービスの利用は増えるものの、平均
的には健康のアウトカムの改善は見られなかった。しかしながら、受診勧奨への反応
や医師の訪問の効果は個人の属性によって異なる可能性がある。この可能性を分析
するため、健康状態の違いによって健康のアウトカムの改善効果が異なるか分析を
行った。その結果、ハイリスク群に分析を絞り込んだところ、eGFR=45の基準値を下
回る群において、翌年のeGFR値がごくわずか改善した。しかしながら、これらのハイ
リスク群の定義は任意(arbitrary)であり、最も重要な属性かどうか不明である。将

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