【参考資料2】令和6年度事業報告書(健康保険事業) (85 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63465.html |
出典情報 | 全国健康保険協会業績評価に関する検討会(第45回 9/25)《厚生労働省》 |
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費の地域差に影響を与える要因としては、肺がんについてはがん検診の感度が、大
腸がんについては、資格喪失割合とがん検診のがん有病率、がん発見率においてが
ん医療費との相関が見られた。一方で、重回帰分析では大腸がんの資格喪失割合の
みに有意差が見られ、肺がん医療費には、がん検診及び資格喪失は関連が見られな
いことが示唆された。
本研究により、糖尿病、肺がん及び大腸がんの医療費には地域差があり、本研究で
着目した要因の一部について影響があることが示唆された。
研究課題名
第2期 ②
『支部単位保険料率の背景にある医療費の地域差の要因に関する研究』
研究代表者
東北大学
成果の概要
■目的と背景(研究2年目までの概要)
:本研究は、全国の各支部で異なる保険料率を
(最終報告)
均一化し、医療受診の機会を均等にするとともに、負担の軽減を目指すものである。
災害科学国際研究所
災害医療情報学分野
教授
藤井
進
その実現に向けて、年齢や所得の調整に加え、地域ごとの医療・介護資源、疾病傾
向、応需状況などを分析し、保険料率に影響を与える要因をKPI(Key Performance
Indicator)として可視化する。課題の改善にあたっては、支部単位で対応可能な施
策、地域との連携が求められる施策、政策レベルでの対応が必要な施策に分類する
ことで、実効性を高めることを目指す。全国47支部を一人当たりの医療費(年齢調整
あり)を指標とし5つの群(A~E:Aが一番高い)に分類した。分析の過程では、医療施
設数や救急医療体制とは一定の相関が見られた一方で、健診受診率や配偶者の受診
率とはほとんど相関が認められなかった。新たな構成要素を加えてKPIを算出した。
4,833種類のデータから97種類を抽出し、因子分析・重回帰分析を用いて、指標と相
関のあるKPIを選定し、モデリングを実施した。高額医療費(透析)、救急医療資源、
医療施設数、受診率、薬剤費(高額製剤・精神疾患関連)、介護(療養型医療を含む)、
疾病傾向、後期高齢者の医療費がKPIとした。指標の高い群ではKPIのバランスが崩
れ、逆に低い群では正10角形に近づく傾向が見られた。しかし異なるKPIの影響を一
律に扱うことの妥当性、重み付けの調整、説明力の定量評価といった点について課
題が残った。
■方法と結果(研究3年目)
:構造モデルを再考案し、単相関分析、因子分析、主成分
分析、重回帰分析を用いて再検証を行った。単相関や因子分析からは、これまで同様
に医療資源が多い地域ほど一人当たりの医療費が高くなる傾向が示された。主成分
分析と重回帰分析から「KPI-1:医療提供体制の規模と利用状況の最適化(相関)」
「KPI-2:外来医療や後発品の最適化(逆相関)」
「KPI-3:一入院当たりの医療費と調剤
費の最適化(逆相関)」となった。KPI-1~3は概ねグループ分類に類似するが、入院診
療単価や調剤費が高くなると一人当たりの医療費を下げる関係性が大きな結果であ
った。
■考察:KPI-2や3に着目すると、弱い相関ながらも関係する医療費が高くなるほど、
一人当たりの医療費が低下する傾向が示唆された。入院医療を外来医療へ転換する
ことで、保険料率の低減が期待できる。注視すべきはKPI-3の分析結果から、入院医
療費の単価が低いと一人当たりの医療費が高くなる傾向である。急性期医療では在
院日数が短いほど入院単価が高くなる。まずは在院日数の短縮を具体的な行動目標
とするのが適切であると考えられる。その結果、利益率が向上すれば症例数を幾ら
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