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【参考資料2】令和6年度事業報告書(健康保険事業) (91 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63465.html
出典情報 全国健康保険協会業績評価に関する検討会(第45回 9/25)《厚生労働省》
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(2年目の

②女性特有疾患が労働生産性に与える影響について

中間報告)

③生殖器がんの診断を受けた女性の難職率について
④(③の発展型として)大腸がん罹患後の継続就業率の男女差
上記の研究テーマの内、今年度は①③④の分析を行った。
①:女性特有の疾患である月経困難症、月経前症候群(PMS)、更年期障害、乳がんの
受療率・羅患率を推定し、併存疾患の実態を明らかにすることを目的とする。2015年
4月から2023年3月までの協会レセプトデータを用い、被扶養者を含む約5,300万人の
女性のうち、約2,700万人の労働者を中心に解析した。対象年齢は、月経困難症およ
びPMSが20~51歳、更年期障害が45~56歳とした。疾患定義はICD-10および標準傷病
名コードに基づき、婦人科専門医の協議を経て設定した。受療率は、該当疾患コード
のレセプトを1件以上有する者を「受療あり」とし、分母は人年で補正して10万人年
あたりで算出した。更年期障害では、ホルモン補充療法(HRT)、漢方薬、抗うつ薬、
抗不安薬、睡眠薬、向精神薬の処方実態を把握し、HRTはエストロゲン製剤(CEE、E2、
E3)、プロゲスチン製剤、配合剤に分類した。診断日前6か月以内にLH-RHアゴニスト
またはGn-RHアンタゴニスト製剤の処方がある場合は医原性と判断し除外した。さら
に、更年期障害に併存する睡眠障害、気分・不安障害、高血圧、頭痛、倦怠感、肥満、
尿失禁などの有無を傷病名コードから抽出し、年度別に集計した。結果、受療率は
年々上昇しており、月経困難症は2015年度の3,960から2022年度には8,855、PMSは262
から497へ、約2倍に増加した。更年期障害も2016年度の6,848から2022年度には9,532
と上昇したが、PMSは他疾患と比べ受療率が依然として低かった。年齢別では、月経
困難症は20代で顕著な上昇を示し、PMSも40代前半まで上昇傾向だった。更年期障害
は全世代で増加しており、特に50~57歳で高かった。HRTは更年期障害の30%に処方さ
れ、漢方薬は45%であった。薬剤別にみると、CEEおよびE2製剤は約20%で横ばい、E3
製剤は6.6%から5.1%へ減少、配合剤は5.6%から7.7%に上昇、プロゲスチン製剤も
12.3%から14.1%へと増加した。併存疾患は、2021年度以降に併存割合が増加し、59.7%
に達した。最多は睡眠障害で約26%、次いで高血圧、頭痛、不安障害、うつの順だっ
た。これらの結果は、働く女性の健康支援に向けた基盤資料となり得る。
③:生殖器がん(乳がん・子宮がん・卵巣がん)の診断は、雇用の継続に影響を及ぼし、
経済的困窮や治療の中断を招く恐れがある。本研究では、乳がんや子宮頸がん、子宮
体がん、卵巣がんの診断後に女性が失職するりスクが、同様のがんを有さない女性よ
りも高いかどうかを検討した。対象は就労中の女性で、2017年4月~2023年3月の72か
月間に新たに乳がん(コホート1)、子宮頸がん(コホート2)、子宮体がん(コホート3)、
卵巣がん(コホート4)と診断された被保険者を「がん群」と定義した。診断日はイン
デックス日とし、診断前24か月に同がんの診断や手術歴のない者、かつ58歳未満で、
再発に該当する修正コードを有さない者のみを対象とした。非がん群は、観察期間中
にいずれのがんの診断もない被保険者から10対1でマッチングし、出生年、コホート
登録年月、基準日年齢を基準とした。主要アウトカムは、基準日から2年間における
全原因による離職であり、退職、契約終了、解雇、懲戒解雇を含む。観察終了日(2023
年3月31日)または死亡、インデックス日から2年経過時点を打ち切りとし、死亡は情
報的打ち切りとした。副次アウトカムは離職と死亡の複合転帰とした。共変量には、
年齢、地域、産業分類、月収、勤続年数、BMI、喫煙・飲酒・身体活動、健康診断歴、

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