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令和4年版厚生労働白書 (99 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/21/dl/zentai.pdf
出典情報 令和4年版厚生労働白書(9/16)《厚生労働省》
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第1部

社会保障を支える人材の確保

で支えることを心掛けている。生活を面で見
れば、その延長線上には看取りがある。事前
に入居者本人の意思確認も銀木犀らしい方法


*2
で行う。ACP(Advance Care Planning)

の場を設けず、職員一人ひとりが日々の暮ら

2



しをサポートする中で、ポロッと出た言葉か

担い手不足の克服に向けて

ら入居者の本音を捉え、職員間で共有する積
み重ねを通じて、入居者の意思を把握する。
銀木犀<船橋夏見>の所長は、この「観察す
る力」こそが介護のプロフェッショナルの根
幹であると話す。
銀木犀では、入居者が亡くなられた際に
「お別れ会」を開く。銀木犀という「家」で
一緒に暮らした仲間に、入居者と職員皆で感
謝を伝える機会を設けている。同時に、入居
者にとっても、銀木犀という「家」で生きき
する様子を見ることで、自分自身の人生の最

(銀木犀<船橋夏見>のダイニング。心地良さを建築で
実現することに力を入れており、無垢のフローリングや
ダイニングテーブル、暖色の灯りなど居心地の良い空間
が広がっている)

期について具体的なイメージを持ち、受容す

コミュニティ全体で一人ひとりをサポート

り、看取られ、皆に見守られながらお別れを

る準備にもつながっているという。

地域に開かれた居心地のよい「家」で自
由に、今この瞬間を楽しく生きる

し、その一人ひとりも地域の一員としてコ
ミュニティに貢献する。そこには、従来の要
介護者と従事者という枠組みにとらわれない
関係が構築されている。銀木犀の最大の特色

銀木犀の入居者は軽度の認知症を有し、自

は「圧倒的な自由」とのことだ。認知症を有

宅で一人暮らしが難しくなり家族等の勧めに

する入居者が多いが、玄関や居室に鍵をかけ

応じて入居される方が多いそうだ。ただし、

ることなく、自由に外出できる。こうしたこ

自宅を離れることに抵抗感を持つ方は少なく

とが実現できるのは、職員が地域と一体と

ない。住み慣れた家を離れる入居者の不安を

なって入居者を見守る体制づくりをしている

和らげ、居心地の良さを感じてもらう工夫が

からだ。銀木犀には、自由な意思を持って暮

建物内に凝らされている。

らす入居者の笑顔が溢れている。「介護はプ
ロが、家族は愛を」と話す下河原社長は、入
居者が「今この瞬間を楽しく生きること」を
理念に、地域交流の場となる「家」づくりに
今後も取り組んでいく。

*2

自分自身が大切にしていることや望み、どのような医療やケアを望んでいるかについて、自ら考え、また、信頼する人たち
と話し合うこと。

令和 4 年版

厚生労働白書

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