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令和4年版厚生労働白書 (106 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/21/dl/zentai.pdf
出典情報 令和4年版厚生労働白書(9/16)《厚生労働省》
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コラム

介護の未来を創りたい
~テクノロジーの活用事例
(社会福祉法人友愛十字会 砧ホーム)

また、同年には、おむつ交換、シーツ交換
や移乗介助等の場面では、介護職員が中腰姿

テクノロジー

ビスの増大が見込まれる中で、人材とともに

2

のさらなる活用が期待され

勢となるため、身体面・精神面の負担がある

る。現場ではどのように活用が進められてい

との意見を踏まえて、希望があれば移乗支援

るのであろうか。ここでは、社会福祉法人友

器具をいつでも使用できるようにした。





今後、少子高齢化の進行に伴い、介護サー
*1

担い手不足の克服に向けて

愛十字会(東京都世田谷区)が運営する特別

2018(平成 30)年には施設関係者から

養護老人ホーム「砧ホーム」の事例を取り上

の寄贈がきっかけとなり、精神面のケアの効

げる。

果が見出されたため、ペットロボットを導入

介護テクノロジーの導入のきっかけ

や外出が制限される中で、利用者の運動(身

砧ホームでは、「介護は道具によって進化

体的効果)、出会いやふれあい(社会的・精

する」

「介護職員は専門職として福祉用具を

神的効果)といった幾重の効果をもたらして

使いこなしていく」、「福祉施設では介護職員

いる。

と他の職種とが連携していく(多職種協働)」

ひとくちに「介護テクノロジー」と言って

といった理念の下、介護職員が専門性を高

も、用いられる分野は多様である。介護テク

め、発揮できるようにすることがサービスの

ノロジーの選定に当たっては、現場の課題と

質に直結すると考えている。

機器の機能とを突き合わせて、実際に使用す

そのため砧ホームでは、“ 福祉用具 ” や “ 介
護機器 ” を率先して活用しており、2014(平
成 26)年度からはリフトにより「持ち上げ
ない介護」に取り組んできた。

現場に根ざして介護テクノロジーの活用
を推進

介護テクノロジーについても、現場での課

題に応じて、国(厚生労働省)や自治体(東
京都及び世田谷区)の補助を適時活用しなが
ら、意欲的に導入・実践し、施設利用者の生
活環境、職員の職場環境を改善してきた。
2016(平成 28)年 1 月に砧ホームが初め

る介護職員の視点から実用的であることを何
よりも重視している。
また、施設内でのテクノロジーのさらなる
活用を図る上で、意欲的に取り組む介護リー
ダーを中心として情報共有を推進し、職員の
理解を深めている。リーダーが実際に使用す
る介護職員の意見や要望を聞き取り、会議を
通じて速やかに検討し、使用上のルール及び
不便な点を継続的に改善していく。こうした
現場に根ざした合意形成の仕組みがある。

もたらされる多面的、相乗的な効果

利用者や家族からは、介護テクノロジーに

て導入した介護テクノロジーが、利用者の見

よって適切なケアを受けられるとの満足の声

守りケアのため、離床動作を通知するセン

を多く得ており、安心できる生活環境がもた

サー付ベッドである。2017(平成 29)年

らされている。介護職員にとっては、負担の

からは、離床動作を動画で速やかに把握する

軽減により、安心してケアを提供できる、働

センサー端末を導入し、利用者の動作を速や

きやすく、働き続けやすい環境となる。

かに確認して転倒及び転落を防ぐために活用

テクノロジーの恩恵は個々の介護職員の仕

した。動画による把握は事故の見える化をも

事に留まらない。2018 年からは、タブレッ

たらし、転倒及び転落事故を事後的に再検証

ト端末によるケア記録の入力及びインカム

することで再発防止につなげることが可能と

(相互通信式構内電話)によるコミュニケー

なり、利用者の安全を守るとともに介護職員

ションを導入し、職員が必要な情報を速やか

のケアの質の向上にもつながっている。

に共有し、連携できる体制を強化している。

*1

92

した。新型コロナウイルス感染症により面会

令和 4 年版

本稿ではテクノロジーを、人間の活動を補完・代替するロボット、センサー、ICT(情報通信技術)等を含む広い意味で整理
している。

厚生労働白書