よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


令和4年版厚生労働白書 (342 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/21/dl/zentai.pdf
出典情報 令和4年版厚生労働白書(9/16)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

4 災害医療
地震等の災害時における医療対策として、阪神・淡
路大震災の教訓をいかし、災害発生時の医療拠点とな
る災害拠点病院の整備(2021(令和 3)年 4 月 1 日現
在 759 か所)、災害派遣医療チーム(DMAT*6)の養
成等を進めてきた(2022 年 4 月 1 日現在 1,754 チー
ムが研修修了)。また、東日本大震災や平成 28 年熊本地震の経験を踏まえ、災害発生時に
必要となる都道府県の総合調整機能やコーディネート機能の確保等の整備に取り組んでき
た。さらに、災害拠点病院においては、DMAT の保有をはじめ、施設の耐震化や自家発
電機、衛星(携帯)電話の保有、3 日分の食料、水、医薬品等及び 3 日分程度の自家発電
機用燃料の備蓄等の整備に加え、被災後、早期に診療機能を回復できるよう業務継続計画
(BCP)の策定及び当該計画に基づく研修・訓練を実施すること等の取組みについても災
害拠点病院指定要件として含めるよう、改正を行ってきた。加えて、
「日本 DMAT 活動
要領」に基づき、2014(平成 26)年度より、統括 DMAT をサポートする要員を確保す
る観点から、DMAT 事務局、DMAT 都道府県調整本部等での本部業務や、病院支援、情
報収集等を担うサポートを専門とするロジスティック担当者からなる専属チームの養成を
行っている。
近年、全国各地で台風や豪雨等による災害が発生し、洪水等による浸水被害を受けた医
療機関においては一部診療を制限せざるを得ない事態となり、地域の医療提供体制への影



7

響が生じたことを踏まえ、浸水想定区域等に所在する政策医療実施機関等における浸水対
策の強化・充実を進めている。
また、新型コロナウイルス感染症の発生から拡大時において、DMAT 資格を有する者

国民が安心できる持続可能な医療・介護の実現

が、災害医療の経験をいかしつつ、感染症の専門家とともに、ダイヤモンドプリンセス号
での対応、都道府県庁における入院調整の支援や、クラスターが発生した介護施設等での
感染制御や業務継続の支援等を実施した。こうした経験を踏まえ、「日本 DMAT 活動要
領」を改正し、新興感染症等に係る DMAT の活動について明記した。
東日本大震災時に多数の心のケアチームが被災地に派遣された経験を踏まえ、集団災害
発生時における精神保健医療への需要拡大に対応するため、災害派遣精神医療チーム
(DPAT*7)の養成を進めてきた。2022 年 3 月に一部改正された「災害派遣精神医療チー
ム(DPAT)活動要領」に基づき、効率的な派遣システムの構築・運用のため、DPAT
事務局の整備や、専門的な研修・訓練による DPAT の全国における養成等を行っている。
加えて、東日本大震災や平成 28 年熊本地震において、被災した精神科病院からの患者受
入れや精神症状の安定化等について、災害拠点病院のみでは対応が困難であったことを踏
まえ、災害時における精神科医療を提供する上で中心的な役割を担う災害拠点精神科病院
*6

*7

328

令和 4 年版

DMAT:
「Disaster Medical Assistance Team」の略。災害拠点病院等において、原則 4 名の医師・看護師等により構成され、災害発
生後直ちに被災地に入り、被災地内におけるトリアージや救命処置、被災地内の病院の支援等を行うもの。出動の際には、独立行政法人
国立病院機構本部 DMAT 事務局が、DMAT 派遣の要請等について厚生労働省の本部機能を果たし、活動全般についての取組みを行うと
ともに、被災地域の各都道府県下に、DMAT 都道府県調整本部が設置され、管内等で活動する全ての DMAT の指揮及び調整、消防等関
連機関との連携及び調整等を行う。その際、一定の研修を修了した DMAT 隊員である統括 DMAT が、責任者として DMAT の指揮、調
整等を行う。
DPAT:
「Disaster Psychiatric Assistance Team」の略。自然災害や犯罪事件・航空機・列車事故等の集団災害が発生した場合、被災
地域の精神保健医療機能が一時的に低下し、さらに災害ストレス等により新たに精神的問題が生じる等、精神保健医療への需要が拡大す
る。このような場合に、被災地域の精神保健医療ニーズの把握、他の保健医療体制との連携、各種関係機関等とのマネージメント、専門
性の高い精神科医療の提供と精神保健活動の支援活動を行うために、都道府県及び政令指定都市によって組織される、専門的な研修・訓
練を受けた災害派遣精神医療チームが DPAT である。

厚生労働白書