よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


令和4年版厚生労働白書 (158 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/21/dl/zentai.pdf
出典情報 令和4年版厚生労働白書(9/16)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

している。また、経済連携協定(EPA)などに基づき、インドネシア、フィリピン、ベ
トナムから入国する外国人看護師候補者及び外国人介護福祉士候補者について、国家資格
取得に向けた就労・研修等に関する支援の実施、受入れ調整機関である公益社団法人国際



2

厚生事業団*53 による職業紹介業務等に対する指導監督等を実施していくこととしている。

コラム

担い手不足の克服に向けて

介護分野で広がる外国人職員の活躍
(社会福祉法人奉優会)

社会福祉法人奉優会(東京都世田谷区、香

に当たって、需要に対応して様々な取組みや

取眞惠子理事長)は 1999(平成 11)年に

工夫をつくり上げてきた。例えば、法人本部

設立され、現在は都内を中心に特別養護老人

では SNS を利用して、各事業所や外国人介

ホーム、通所介護、地域包括支援センターな

護職員からの仕事や生活面などの相談を幅広

ど 100 事業所以上の高齢者介護事業等を展

く受け付け、迅速な問題解決を図っている。

開している。外国人を含む多様な人材が介護

各事業所では日本語教育責任者、介護業務教

の現場を支えている。

育責任者、生活環境責任者の三者を配置し、

ダイバーシティ(多様性)を重視した外
国人介護職員の積極的な受入れ

介護業務や介護福祉士国家試験支援はもちろ
んのこと、職場や地域での懇親を深めたり、
日本での生活・文化を学んだりする機会を提

奉優会では、女性の社会的地位の向上や働

供している。そこには誰一人取り残さず、外

き続けられる職場づくりを目指して、ワー

国人を職場で、また日本での生活を支えると

ク・ライフ・バランスを考慮した様々な取組

いう関係者の熱い思いがある。

みや、管理職の半数に女性を登用するなど、
女性の活躍を推進してきた。

また、外国人介護職員について、利用者や
その家族、日本人職員に説明を行う機会を設

この経験を踏まえ、近年では、能力があっ

けている。その他、指導する者によって教え

ても仕事やチャンスが与えられないより多く

方が異ならないように指導方法を統一し、分

の外国人を支援したいという思いから、EPA

かりやすい用語や帳票類への見直し、業務中

介護福祉士候補者、技能実習生、そして最近

に困ったことがあればすぐ周囲が支援できる

では特定技能の在留資格を持つ外国人介護職

ようインカム(相互通信式構内電話)の導入

員の受入れを積極的に行っている。目的は人

なども行っている。これらは介護現場で初め

手不足への対応ではなく、ダイバーシティ

て働く日本人職員にとっても効果的で、職場

(多様性)を重視した取組みである。2021
(令和 3)年 12 月 31 日現在、インドネシア、
ベトナム、タイなどからの 158 名の外国人
介護職員が各事業所で活躍している。施設に

の働きやすさにつながっている。

現場の中核を担う外国人管理職

東京都足立区にある特別養護老人ホーム

よっては介護職員の約半数を外国人が占め

「奉優の家」(本多正起施設長)で介護 1 課長

る。また、国籍を問わず平等に能力を評価す

を務めるファム・ティ・ミー・ハウさんはベ

る方針により、現在は 2 名の外国人管理職

トナム出身。母国の看護大学を卒業後、EPA

(介護課長)がいる。

現場で生じる困難を試行錯誤で克服

介護福祉士候補生として 2016(平成 28)
年 8 月に奉優会に就職し、ユニットリーダー、
介護主任を経て、2021 年 3 月に現職に昇進

奉優会本部(以下「法人本部」という。)

した。現在の主な仕事は、他の管理職同様、

及び各事業所では、外国人介護職員の受入れ

職員の採用や教育、課内及び他課との調整業

* 53 候補者の受入れを適正に実施する観点から、同法人が唯一の受入れ調整機関となっている。

144

令和 4 年版

厚生労働白書