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令和4年版厚生労働白書 (376 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/21/dl/zentai.pdf
出典情報 令和4年版厚生労働白書(9/16)《厚生労働省》
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図表 8-3-2

次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像
令和3年11月12日
新型コロナウイルス感染症対策本部

【基本的考え方】

○ ワクチン、検査、治療薬等の普及による予防、発見から早期治療までの流れをさらに強化するとともに、最悪の事態を想定して、次の感染拡大に備える
○ 今夏のピーク時における急速な感染拡大に学び、今後、感染力が2倍(※)となった場合にも対応できるよう、医療提供体制の強化、ワクチン接種の促進、
治療薬の確保を進める
○ こうした取組により、重症化する患者数が抑制され、病床ひっ迫がこれまでより生じにくくなり、感染拡大が生じても、国民の命と健康を損なう事
態を回避することが可能となる。今後は、こうした状況の変化を踏まえ、感染リスクを引き下げながら経済社会活動の継続を可能とする新たな日常の
実現を図る
○ 例えば感染力が3倍 (※) となり、医療がひっ迫するなど、それ以上の感染拡大が生じた場合には、強い行動制限を機動的に国民に求めるとともに、
国の責任において、コロナ以外の通常医療の制限の下、緊急的な病床等を確保するための具体的措置を講ずる
(※)「感染力が2(3)倍」とは、若年者のワクチン接種が 70%まで進展し、それ以外の条件が今夏と同一である場合と比較し、新たな変異株の流行や、生活行動の変
化などによる、
「今夏の実質2(3)倍程度の感染拡大が起こるような状況」のことである

1.医療提供体制の強化
<今後の感染拡大に備えた対策>

1)病床の確保、臨時の医療施設の整備
入院を必要とする者が、まずは迅速に病床又は臨時の医療施設等に受け入
れられ、確実に入院につなげる体制を11月末までに整備

○今夏と比べて約3割増の患者
(約1万人増(約 2.8 万人→約 3.7 万人))の入院が可能に
・病床の増床や臨時の医療施設における病床確保
(約5千人増(病床約6千床増の8割(使用率)
))
・感染ピーク時において確保病床使用率8割以上を確保(約5千人増)
・入院調整の仕組みの構築、スコア方式の導入等による療養先の決定の迅速・
円滑化
※公的病院の専用病床化(約2.7千人の入院患者の受入増(病床増約1.6千床分)

○今夏と比べて約4倍弱(約 2.5 千人増)の約 3.4 千人が入所できる臨時の医療
施設・入院待機施設を確保

3)医療人材の確保等
感染拡大時に臨時の医療施設等が円滑に稼働できるよう、医療人材の確
保・配置調整を担う体制を構築

健康で安全な生活の確保



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・医療人材派遣に協力可能な医療機関数、派遣者数を具体化
・人材確保・配置調整等を一元的に担う体制を構築
・公立公的病院から臨時の医療施設等に医療人材を派遣

2)自宅・宿泊療養者への対応
全ての自宅・宿泊療養者に、陽性判明当日ないし翌日に連絡をとり、
健康観察や診療を実施できる体制を確保

・保健所の体制強化
・ 今夏と比べて約3割増の宿泊療養施設の居室の確保 ( 約 1.4 万室増 ( 約 4.7
万室→約 6.1 万室 ) )
・従来の保健所のみの対応を転換し、約 3.2 万の地域の医療機関等と連携して
オンライン診療・往診、訪問看護等を行う体制を構築

症状の変化に迅速に対応して必要な医療につなげ、また重症化を未然に
防止する体制を確保

・全ての自宅療養者にパルスオキシメーターを配付できるよう総数で約 69 万
個を確保
・入院に加え外来・往診まで様々な場面で中和抗体薬・経口薬を投与できる体
制構築

4)ITを活用した稼働状況の徹底的な「見える化」
医療体制の稼働状況を G-MIS やレセプトデータなどを活用して徹底的に
「見える化」
・病床確保・使用率(医療機関別・毎月)
・治療薬の投与者数(都道府県別・毎月)
・オンライン診療・往診等自宅療養者に対する診療実績(地域別・毎月)

※上記の数値は11月11日時点のもの

5)さらなる感染拡大時への対応
○今後、地域によって、仮に感染力が2倍を超える水準になり、医療のひっ迫が見込まれる場合、国民に更なる行動制限 (※) を求めるとともに、国の
責任において、コロナ以外の通常医療の制限の下、緊急的な病床等を確保するための追加的な措置を講ずる
・国・都道府県知事は地域の医療機関に診療等について最大限の協力を要請
・コロナ患者受入病院に、短期間の延期ならリスクが低いと判断される予定手術・待機手術の延期等を求める
・公立公的病院に追加的な病床確保や医療人材派遣等を要求。民間医療機関にも要請

○感染力が2倍を超え、例えば3倍となり、更なる医療のひっ迫が見込まれる場合、大都市のように感染拡大のリスクが高く病床や医療人材が人口
比で見て少ない地域等について、当該地域以外の医療機関に、コロナ以外の通常医療の制限措置を行い、医療人材派遣等を行うよう、国が要求・要請。
こうした措置が速やかに解除されるよう、国民には更なる行動制限 (※) を求める
※更なる行動制限については、具体的には、人との接触機会を可能な限り減らすため、例えば、飲食店の休業、施設の使用停止、イベントの中止、公共交通機関
のダイヤの大幅見直し、職場の出勤者数の大幅削減、日中を含めた外出自粛の徹底など、状況に応じて、機動的に強い行動制限を伴う要請を行う

2.ワクチン接種の促進

11 月中に希望する方への接種を概ね完了見込み
12 月から追加接種を開始。追加接種対象者のうち、希望する全ての方が接種を受けられるよう体制を確保

○11 月中に希望する方への2回のワクチン接種を概ね完了見込み(11/11 公表時点接種率:1回目 78.2% 2回目 74.5%)

・今後も若年者を含め1回目・2回目未接種者に対する接種機会を確保
・小児(12 歳未満)への接種について、企業から薬事申請がなされ、承認に至った場合には厚生科学審議会の了承を得た上で接種を開始

○12月から追加接種を開始。2回目接種完了から概ね8カ月以降に、追加接種対象者のうち希望する全ての方が受けられるよう体制を確保
・2回目接種を完了した全ての方に追加接種可能なワクチン量を確保(来年は 3 億 2 千万回分の供給契約を締結済み)
・12 月からの接種に向けて都道府県・市町村で体制を整備。国は全額国費を基本として必要な支援を行う
・2回目接種完了者のほぼ全てが追加接種の対象者となった場合、来年3月を目途に職域接種による追加接種を開始

3.治療薬の確保

経口薬は治療へのアクセスを向上・重症化予防により、国民が安心して暮らせるようになるための切り札
年内の実用化を目指すとともに、必要量を確保

○国産経口薬を含む治療薬の開発費用として1薬剤当たり最大約 20 億円を支援し、経口薬について年内の実用化を目指す
○軽症から中等症の重症化リスク保有者が確実に治療を受けられるよう、複数の治療薬を確保し、必要な量を順次納入できるよう企業と交渉を進める
■感染力が2倍となった場合、軽症から中等症の重症化リスク保有者向けに最大約 35 万回分(感染力が3倍となった場合は最大約 50 万回分)の治療薬が必要な見込み
・中和抗体薬について、来年(2022 年)初頭までに約 50 万回分を確保
・経口薬について、薬事承認が行われれば速やかに医療現場に供給。合計約 60 万回分を確保(薬事承認が行われれば年内に約 20 万回分、年度内に更に約 40 万回分)
・さらに、今冬をはじめ中期的な感染拡大にも対応できるよう、更なる治療薬の確保に向けて取り組む(経口薬については、追加で約 100 万回分、計約 160 万回分確保)

4.国民の仕事や生活の安定・安心を支える日常生活の回復

感染拡大を防止しながら、日常生活や経済社会活動を継続できるよう、行動制限
の緩和の取組を進めていく。具体的内容は、速やかに基本的対処方針において示
す。ただし、緊急事態宣言等の下で、コロナ以外の通常医療への制限が必要とな
る場合等には、行動制限の緩和を停止することがあり得る

<誰もが簡易かつ迅速に利用できる検査の拡大・環境整備>

・都道府県が、健康理由等でワクチン接種できない者を対象として、経済社会活動を行う際の検査を予約不要、無料とできるよう支援
併せて感染拡大時に、都道府県判断により、感染の不安がある無症状者に対し、検査を無料とできるよう支援
・PCR 検査の実勢価格を踏まえた保険収載価格の検証、年内を目途に必要な見直し

<電子的なワクチン接種証明>

・これまでは紙で海外渡航用に限定して発行していたが、年内にワクチン接種証明書をデジタル化、国内でも利用可能とする

<感染状況を評価する新たな基準の考え方>

・1 1 月8日のコロナ分科会の提言を受け、医療のひっ迫状況により重点を置いた考え方に見直しを行うこととし、速やかに基本的対処方針を改正

<新型コロナの影響を受ける方々への支援>

・住民税非課税世帯や子育て世帯・学生などコロナでお困りの皆様に対する給付金等の支援を行う。
(詳細は経済対策で決定)

<今後のさらなる対応>

・今後の感染症への対応として、病床や医療人材の確保等に関する国や自治体の迅速な要請・指示等に係る法的措置を速やかに検討
・また、行政のあり方も含めた司令塔機能の強化等により、危機管理の抜本的な強化を検討

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令和 4 年版

厚生労働白書