参考資料3-2:人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針 ガイダンス (5 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_58031.html |
出典情報 | 生命科学・医学系研究等における個人情報の取扱い等に関する合同会議(第11回 5/22)《厚生労働省》 |
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③の「利益」とは、研究から得られる成果や期待される恩恵を指す。研究が実施される
ことによって研究対象者に健康上の利益が期待される場合には、当該研究対象者個人に生
じる具体的な恩恵となる。また、研究の成果は、社会的及び学術的な価値という一般的か
つ有形・無形の利益となる。
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③の「負担」とは、研究の実施に伴って確定的に研究対象者に生じる好ましくない事象
を指し、例えば、身体的又は精神的な苦痛、健康上の不利益(自覚されないものを含む。)、
不快な状態等のように「侵襲」に関連するもののほか、研究が実施されるために研究対象
者が費やす手間(労力及び時間)や経済的出費等も含まれる。
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③の「不利益」とは、研究の実施により生じるか否かが不確定な危害の可能性も含まれ
る。その危害としては、身体的・精神的な危害のほか、研究が実施されたために被るおそ
れがある経済的・社会的な損害が考えられる。
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③の「比較考量」については、研究対象者への負担並びに予測されるリスクを最小化し、
かつ、利益の最大化を可能な限り図ったうえで、負担・リスク及び利益それぞれの総合的
評価の結果、想定される負担・リスクの総体を利益の総体が上回るように比較考量するこ
とを指す。
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⑤の「自由な意思に基づく同意」に関して、研究者等は、ヘルシンキ宣言第 27 を参考
に、研究参加へのインフォームド・コンセントを求める場合、研究対象者等が研究者等に
依存した関係にあるか又は同意を強要されているおそれがあるかについて特別な注意を
払わなければならない。
また、自由な意思に基づく同意に資するため、研究者等は、国民の研究に対する理解向
上に係る取組を実施するなど、将来の研究対象者となり得る一般の国民に対しても対話す
る機会を設け、国民及び社会の理解の推進を図っていくことが望ましい。
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⑥の「社会的に弱い立場にある者」とは、例えば、判断能力が十分でない者や、研究へ
の参加に伴う利益又は参加を拒否した場合の不利益を予想することによって自発的な意
思決定が不当に影響を受ける可能性がある者など、経済上又は医学上の理由等により不利
な立場にある場合を指す。医薬品規制調和国際会議(以下「ICH」という。)において合意
されている医薬品の臨床試験の実施に関する基準(GCP)のガイドライン(ICH-GCP)では
「Vulnerable Subjects」として示されており、研究の内容に応じて適宜参考としてよい。
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⑥の「特別な配慮」に関して、第 17 の2⑷の規定による倫理審査委員会における有識
者からの意見聴取、第9の2⑴の規定によるインフォームド・アセントの取得等のほか、
例えば、障害者を研究対象者とするときは、その障害に配慮した説明及び情報伝達方法(視
覚障害者向けの点字翻訳、聴覚障害者向けの手話通訳等)によること、また、必要に応じ
て、研究対象者の自由意思の確保に配慮した対応(公正な立会人の同席など)を行うこと
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