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令和8年度予算の編成等に関する建議 (29 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20251202/index.html
出典情報 令和8年度予算の編成等に関する建議(12/2)《財務省》
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く中で安定的に低下し、令和 10 年度(2028 年度)にはコロナ禍前の水
準を下回る見込みとなっている。
一方、
「過去投影ケース」では、プライマリーバランス黒字幅は縮小し
ていき、令和 16 年度(2034 年度)にかけてわずかに黒字幅が維持され
る見込みであるが、名目成長率が名目金利を下回ることから、債務残高対
GDP 比は、2020 年代後半に上昇に転じ、増加方向に向かう見込みとなっ
ている。〔資料Ⅰ-3-6参照〕
このように、今後の債務残高対 GDP 比は、プライマリーバランスの改
善努力のほかにも、名目経済成長率や名目金利、あるいは両者の水準の差
といった多くの不確実性の中で決まるものであり、中長期試算の「成長移
行ケース」で示されたとおりに推移する保証はない 27。
「強い経済」を構
築し、高い経済成長率を目指すことは何より重要であるが、名目経済成長
率が名目金利を常に上回り続けることを前提とすることは困難である。
その点、これまでも、債務残高対 GDP 比などの財政状況は、予期せぬ
有事によって大きく変動してきた。例えば、コロナ禍前の令和2年(2020
年)1月の中長期試算では、令和2年度(2020 年度)以降、成長実現ケ
ースの下で債務残高対 GDP 比は 180%前後で安定的に減少していく見
通しであったが、その後に発生した新型コロナウイルスの感染拡大に伴
う対応等により、見通しと比べて、大きく上方シフトして推移した。
それ以前においても、金融危機や自然災害といった有事が一定の頻度
で起き、その都度、債務残高対 GDP 比は非連続的に大きく増加している。
これは、これまで有事が起こる度に必要な財政措置が講じられ、有事が国
民生活や経済に与える影響を緩和するとともに、速やかな回復が図られ
てきた結果であるとも言える。
〔資料Ⅰ-3-7、8参照〕
大規模地震の発生確率や複雑化する国際情勢を踏まえれば、今後も想
定外の有事が発生する可能性がある。その場合であっても、財政に対する
信認を確保しながら、必要となる財政措置を講じることができるよう、あ
らかじめ債務残高対 GDP 比を安定的に引き下げておくことが必要であ
る。〔資料Ⅰ-3-9、10 参照〕
成長移行ケースでは、令和 13 年度(2031 年度)まで名目経済成長率が名目長期金利を上回っ
ており、令和9年度(2027 年度)まで消費者物価上昇率が名目長期金利を上回っている。

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