令和8年度予算の編成等に関する建議 (156 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20251202/index.html |
| 出典情報 | 令和8年度予算の編成等に関する建議(12/2)《財務省》 |
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比較して、依然として高い水準にとどまっている。特に、近年の特徴とし
て、大規模投資や省力化投資に係る補助金を立て続けに拡充してきた。一
方、コロナ禍前から続く補助金についても、見直しが行われないまま予算
が高止まりしており、結果として、コロナ禍前と比べ、補助金の予算額・
種類が膨張している点が挙げられる。
〔資料Ⅱ-8-17 参照〕
②
中小企業が抱える課題と求められる支援策
中小企業の新陳代謝や生産性向上が進まない一因として、経営力・ガバ
ナンスの課題がある。例えば、中小企業が価格転嫁を進め、賃上げや投資
の原資を確保する上で、まずは、自社の原価構成など経営状況を分析する
ことが基本となるが、小規模事業者を中心に、そもそも採算が可視化され
ていない企業が多い。また、中小企業では資本市場等を通じたガバナンス
が効きにくく、前向きな投資等により資本コストを上回るリターンを追
求するといった企業行動につながりにくい。こうした中、中小企業の総資
産に占める現預金比率は、過去 20 年以上にわたり、大企業や中堅企業を
上回るペースでほぼ一貫して上昇しており、資本効率も低迷している。こ
うした経営力・ガバナンスの課題が、中小企業が積極的な投資に踏み切れ
ず、現状維持で十分との声にもつながっていると考えられる。このため、
中小企業が適切なリスクテイクを行えるよう、事業環境の整備や経営・ガ
バナンスの高度化を促していく必要がある。〔資料Ⅱ-8-18 参照〕
中小企業の経営の高度化を促すためには、まずは、取引適正化・官公需
も含めた価格転嫁対策の徹底により、サプライチェーン全体で適切な競
争環境を整備することが重要であるが、価格転嫁率は未だに5割程度に
とどまっており、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」
(以下「労務費転嫁交渉指針」という。
)の認知度も 50%程度である 146。
平成 24 年度(2012 年度)から令和元年度(2019 年度)までは 3,800 億円台から 7,400 億円
台までの間で推移(補正予算及び予備費を含むベース)
。
146 「令和6年度価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査(令和6年(2024 年)12 月)
」
(公正取
引委員会)の結果、
「労務費転嫁交渉指針」について、
「知っていた」と回答した者の割合が全体
の 48.8%であった。また、
「労務費転嫁交渉指針」を知っていた者のうち、受注者の立場で、
「労
務費の上昇分として要請した額について、取引価格が引き上げられた」と回答した者の割合は
145
-140-