令和8年度予算の編成等に関する建議 (27 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20251202/index.html |
| 出典情報 | 令和8年度予算の編成等に関する建議(12/2)《財務省》 |
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され、令和7年(2025 年)9月9日に内閣が総辞職するに至った。この
ような状況下で、財政健全化の取組の後退が懸念される中、フランス国債
の金利は欧州債務危機時に並ぶ水準まで上昇した。さらには、主要格付会
社は、債務安定化の見通しが立たないなどとして、フランス国債の格付け
を相次いで引き下げた 24。〔資料Ⅰ-2-18 参照〕
ソブリン・シーリング 25という考え方では、仮に、フランスのように国
債の格付けが引き下げられた場合、その国に所在する民間企業の格付け
もその影響を受けるとされている。実際に、過去、日本国債が格下げされ
た際には、日本国債と同水準の格付けだった民間企業の4~5割が格下
げされた。民間企業の格付けが引き下げられれば、当該企業が発行する社
債の金利に影響を与えることなどを通じ、企業の資金調達コストに影響
を与えることとなる。
足もとの日本国債の格付けは、G7の中ではイタリアに次いで低く、過
去に通貨危機を経験した韓国よりも低い状況にある。主要格付会社によ
れば、更なる財政赤字の拡大、債務残高対 GDP 比の上昇や経済成長の低
迷などが見込まれる場合等には格下げされる可能性が示唆されており、
その場合、日本経済の持続的な成長が損なわれるリスクがある。
〔資料Ⅰ
-2-19 参照〕
このように、国債格付けは、国の資金調達のみならず、民間企業の資金
調達にも影響を与えることから、経済が持続的に成長し、
「強い経済」を
構築するためには、国債格付けが引き下げられることのないよう、財政健
全化を着実に進めていく必要がある。
格付会社 Fitch が令和7年(2025 年)9月 12 日に、S&P が同年 10 月 17 日にフランス国債
の格付けを「AA-」から「A+」にそれぞれ引き下げた。なお、この間、バイル首相の後任とし
て新たに任命されたルコルニュ首相が組閣するも、与野党に人選を批判され翌朝に内閣総辞職。
与野党との再協議を経て同 10 日に同氏が首相に再任命され、同 14 日に野党に一定の譲歩を図
った予算案が議会に提出された。
25 ソブリン・シーリングとは、企業の格付けは、その企業が主に事業を展開する国の国債の格付
けがおおむね上限となるとの見方である。国債の格付けが低下すれば、日本の企業全体の格付け
低下を通じて、企業の資金調達コストが高まることで、国際競争力の低下につながる懸念がある。
また、国債は金融機関が資金を調達する際の担保に使われているため、担保として不適格な水準
に引き下げられた場合、金融機関の資金調達に大きな影響が生じ、日本企業への波及も避けられ
ないおそれがある。
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