令和8年度予算の編成等に関する建議 (26 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20251202/index.html |
| 出典情報 | 令和8年度予算の編成等に関する建議(12/2)《財務省》 |
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例えば、英国においては、コロナ禍以降金利上昇が続く中、トラス首相
就任後に生じた、いわゆるトラスショック 18の後、首相や政権の交代を経
た足もとにおいても、国債に頼る財政運営に対する警戒感から金利は高
止まったままである。利払費は、8月までの令和7年度(2025 年度)途
中実績を見ると、昨年度比で増加しており、3月時点の見通しでは、令和
7年度(2025 年度)以降、1000 億ポンド(対 GDP 比 3.4% 19)を超え、
更なる増加傾向が続く見込みとなっている。〔資料Ⅰ-2-16 参照〕
米国においては、国債発行のうち短期債(T-Bill)の発行割合が多い 20
中で、足もとの金利上昇により、令和6年度(2024 年度)において利払
費が急増 21し、国防費を上回った 22。この点、例えば、令和7年(2025
年)に就任したベッセント財務長官は、就任前から、財政赤字は国家安全
保障上の問題であるとして、利払費の増加や財政収支の悪化に対する懸
念を表明するとともに、財政赤字を縮小しなければ、次の危機に財政的に
対応ができなくなるとして、平時の財政余地の重要性を度々強調してい
る。〔資料Ⅰ-2-17 参照〕
③
国債格付けの影響
高い水準の財政赤字により EU の過剰財政赤字手続 23下にあるフラン
スでは、バイル首相は、金利上昇に伴う利払費増加等への懸念から、令和
8年度予算案において歳出削減を行う方針を表明した。あわせて、少数与
党下での予算案審議を前に、財政健全化の必要性を訴える一般政策声明
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各国において債務管理政策のスタンスはそれぞれ異なるため、一概に比較はできないことには
留意する必要がある。
18 令和4年(2022 年)秋にトラス政権が財源の裏付けがない減税政策等を発表したこと等によ
り、金利上昇・通貨安といった金融市場の混乱を招いた。
19 我が国の令和7年度予算における利払費は対 GDP 比で 1.7%。
20 米国の国債発行に占める T-Bill の割合は 84.9%(令和7年度(2025 年度)第4四半期)
。
21 対令和2年度(2020 年度)比 155%増。
22 我が国の令和7年度予算における利払費(10.5 兆円)は、防衛関係費(8.7 兆円)を上回って
いる。
23 欧州理事会は原則年2回、基準値(財政赤字対 GDP 比3%、債務残高対 GDP 比 60%)や加
盟国が報告する財政赤字などの指標等を踏まえ、当該加盟国に過剰財政赤字が存在しているかど
うかを判断し、勧告する。勧告を受けた国は欧州委員会と欧州理事会に対し、一定の期間内に過
剰財政赤字を是正するための措置を報告し、実施する。実施が不十分な場合、警告がなされ、そ
れでも事態が改善されない場合に、最大対 GDP 比 0.05%の罰金といった制裁が行われる。
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