令和8年度予算の編成等に関する建議 (21 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20251202/index.html |
| 出典情報 | 令和8年度予算の編成等に関する建議(12/2)《財務省》 |
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しかしながら、その後、世界金融危機や東日本大震災、新型コロナウイ
ルスの感染拡大が発生し、それぞれ必要な対応が講じられた結果、債務残
高対 GDP 比は累増の一途をたどっている。令和5年度(2023 年度)末
においては 205.3%であり、依然としてコロナ禍前を大きく上回る水準と
なっている。
〔資料Ⅰ-2-3参照〕
こうした債務残高対 GDP 比の伸びは、ドーマーの定理 12に基づき、プ
ライマリーバランス(フロー要因)によるものと、成長率や金利の要因に
よるものに分けて考えることができる。それに基づき、平成 14 年度(2002
年度)以降の我が国や先進国の債務残高対 GDP 比の増減を要因別に分解
すると、いずれの国においても、債務残高対 GDP 比の増減の多くはフロ
ー要因によって説明できる。
金利のある世界に戻り、その変動が見られる今日、我が国の経済財政に
対する市場からの信認を確実なものとすることが求められる。
「経済あっ
ての財政」との基本方針の下、債務残高対 GDP 比の安定的な引下げに向
けて、歳出改革の取組や歳出構造の平時化など、政府としてコントロール
できる取組を継続しながら、フロー要因としてのプライマリーバランス
の状況を確認・検証しつつ、毎年度の財政運営に臨むことが重要である。
〔資料Ⅰ-2-4参照〕
その際、税収増を含めて財政状況を改善させることが大事である一方
で、税収が増加する局面では、歳出面においても、例えば、地方交付税の
法定率分が連動して増加するほか、金利や物価が上昇する場合には、利払
費や年金給付などの歳出増が生じることに留意が必要である。そもそも
税収は景気動向によって変動するものである。経済再生を進める中で、政
府が直接取り組むことができる歳出・歳入両面にわたる改革を継続する
参考資料(平成 19 年(2007 年)1月 18 日 経済財政諮問会議提出)
」
(内閣府)において、TFP 上昇率が平成 17 年度(2005 年度)の 0.9%程度から平成 23 年度
(2011 年度)に 1.5%程度まで徐々に上昇することを前提とし、実質成長率が2%程度から2%
代半ばに、名目成長率が1%代半ばから4%程度となるケース。
12 ドーマー定理とは、経済成長率が金利を上回る場合、プライマリーバランス赤字が一定の範囲
であれば、債務残高対 GDP 比が収束することを示す定理。ただし、成長率が金利を上回ったと
しても、プライマリーバランスが赤字のときは、必ずしも債務残高対 GDP 比が逓減することを
保証しない点は留意が必要である。
11 「日本経済の進路と戦略
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