令和8年度予算の編成等に関する建議 (24 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20251202/index.html |
| 出典情報 | 令和8年度予算の編成等に関する建議(12/2)《財務省》 |
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外国人投資家の存在感の高まりが目立っている。
〔資料Ⅰ-2-12 参照〕
このような状況下で、日本銀行において、国内の堅調な経済・物価動向
などを要因に、利上げや国債買入れ縮小が進められている。具体的には、
日本銀行は、令和6年(2024 年)7月、
「長期国債買入れの減額計画」を
決定し、保有国債残高が令和8年(2026 年)3月までにおおよそ7~8%
(令和6年(2024 年)6月比)減少するとの見通しを示した。また、令
和7年(2025 年)6月には、保有国債残高が令和9年(2027 年)3月ま
でにおおよそ 16~17%(令和6年(2024 年)6月比)減少するとの見通
しを示している。
民間シンクタンクが一定の仮定を置いて実施した試算においては、令
和 22 年(2040 年)末時点の日本銀行の保有国債残高は 120~250 兆円
程度となり、令和6年(2024 年)6月比で 320~460 兆円程度減少する
との見通しとなっている。一方、別の民間試算においては、銀行等の追加
的な国債消化余力は、金融規制等によって約 100~300 兆円弱程度とな
り、日本銀行保有国債の減少分の一部にとどまる可能性を示唆している。
〔資料Ⅰ-2-13 参照〕
このような国債市場の状況を踏まえると、金利の安定や円滑な国債発
行のためには、市場からの信認を確実なものとすることが益々重要とな
ってくる。「経済あっての財政」という基本方針の下、これまでの歳出・
歳入改革の努力を後退させることなく、債券市場における消化能力にも
留意しながら、財政運営を進めることにより、財政の持続可能性を確保す
るべきである。
また、外国為替市場に目を転じると、財政政策は市場に影響を与える要
因の一つであり、円安を通じて、国の交易条件(輸出物価/輸入物価)が
悪化し、実質賃金も低下すれば 15、国民の生活水準に影響を及ぼすことが
指摘されている。
このように、財政は国民生活の基盤の一つであり、財政の信認を維持す
例えば、Chun, H., Fukao, K., Kwon, H. U., & Park, J. (2024). Why Do Real Wages Stagnate
in Japan and Korea?. Asian Economic Papers, 23(1), 116-139.では、平成7年(1995 年)から
平成 27 年(2015 年)にかけて日韓の実質賃金が(生産性と比して)伸び悩んだ主な要因に交易
条件の悪化があったことを実証的に示している。
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