令和8年度予算の編成等に関する建議 (111 ページ)
出典
| 公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20251202/index.html |
| 出典情報 | 令和8年度予算の編成等に関する建議(12/2)《財務省》 |
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我が国の外交に目を転じると、近年、ロシアによるウクライナ侵略以降、
中東においては、ハマスがイスラエルを攻撃しイスラエルが報復するな
ど不安定な状態が続いている。また近年、東アジアでは、周辺国等が軍事
力を増強させるとともに、日本近海での軍事的行動を活発化させている。
さらに、米国ではトランプ政権が成立し、関税措置に加え、国際機関から
の脱退や拠出の撤回といった新たな外交・経済政策が打ち出されている。
こうした状況は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境とも称されると
ともに、自由貿易体制を揺るがす状況にもあり、国際関係が激変する中で、
国際協調を旨としてきた我が国の外交を、柔軟かつ的確に展開すること
が求められている。
〔資料Ⅱ-4-1参照〕
(1)岐路に立つ ODA
このような我が国を取り巻く外交環境において、我が国の外交政策上
の主要ツールである ODA(政府開発援助)政策の政府予算の規模は一定
規模で推移している 84。一方、例えば英国では、本年2月に、ODA の GNI
(国民総所得)比の段階的な削減を発表するなど、欧米を中心に予算削減
等の動きが見られる。
ちなみに、国内の世論の動向を見ると、
「外交に関する世論調査」によ
ると、今後の開発協力について「なるべく少なくすべきだ」や「やめるべ
きだ」との回答が増加傾向にあるなど、足もとでは、国民理解の低下や、
国際交流に向けた取組へのより厳しい見方が見られる。このような中、戦
後日本の歩みを振り返れば、我が国は、世界各国との自由な貿易・投資や
交流を通じて、戦後復興や経済成長を実現してきており、国際協調による
恩恵を最も受けた国の一つであると言える。
その上で、国際協調やグローバルな課題解決への貢献の観点からは、
ODA が引き続き重要な外交ツールである。だからこそ、その成果を示し
外務省予算のうち、主な ODA 予算項目の無償資金協力・JICA 運営費交付金等(技術協力等)
は、1990 年代後半にピークを迎えた(約 4,000 億円)。その後減少に転じ、2010 年頃に 1990 年
頃の水準(約 3,000 億円)に戻った以降は、横ばいで推移している。
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