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【資料2】令和8年度研究事業実施方針作成のための意見伺い(AMED研究) (113 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_57788.html
出典情報 厚生科学審議会 科学技術部会(第144回 5/14)《厚生労働省》
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令和7年度に推進する研究課題
(1)継続研究課題のうち優先的に推進する研究課題(増額要求等する課題)の概要、及び
期待される研究成果の政策等への活用又は実用化に向けた取組
【課題名】女性ホルモンの影響による更年期以降の疾病の予防・治療に資するライフコ
ース研究
【概要】平均寿命の伸長に伴い、特に女性において障害と共に生存する障害生存期間が
長くなっている。この女性における障害生存期間の短縮には、健康維持・増進や障害
進展予防に関わる要因を、各ライフステージにおける生殖機能関連事象、既往疾患、
生活保健習慣などから特定する必要がある。本課題では更年期以降の女性の健康に注
目し、コホートデータから①早発閉経と後年の疾患発生との関連および世代間比較、
②女性ホルモン剤、特にホルモン補充療法(HRT)の長期使用におけるリスクとベネフ
ィット評価、③更年期以降に発生する疾患・症状のリスク因子の探索およびライフコ
ースとしての予防管理法、④閉経後の卵胞刺激ホルモン(FSH)レベルの役割の探索の
4 課題を検討する。令和 7 年度はライフコースからみた更年期以降における女性ホル
モンの影響がある疾患での適切な予防や管理に資するエビデンスの構築を充実させ
る。
【成果の活用】ライフコースも考慮したエビデンスに基づき、更年期の女性に必要なヘ
ルスケアを提示できるようになることが期待される。
【課題名】子宮腺筋症における薬剤抵抗性の分子機構解明に基づく治療戦略構築
【概要】子宮腺筋症は子宮内膜類似組織が子宮筋層内に発生し、月経痛、月経過多など
の月経随伴症状や不妊症・不育症・妊娠合併症をきたし、QOL を著しく損なう良性疾
患であるが、未だ病因・病態が不明である。本課題ではまず、P(プロゲスチン)抵抗
性の有無を判定する臨床的指標を検索し、P 抵抗性を判断基準とした早期型と進行型
の子宮腺筋症を区別する診断法を確立する。次に、進行型子宮腺筋症に対し、新たな
標的分子の同定と新規治療薬候補の探索、効果検証を行う。令和 7 年度は黄体ホルモ
ン抵抗性を有する子宮腺筋症オルガノイドを用いた治療薬候補を探索し、充実させ
る。
【成果の活用】子宮腺筋症が進展する分子機序を明らかにすることで、子宮腺筋症の既
存の治療法の効果の最大化、新規診断薬と治療薬の開発、最終的には子宮腺筋症の個
別化治療に繋がることが期待される。
【課題名】髄鞘機能に着目した認知症・鬱病における性差の分子生物学的研究
【概要】認知症・鬱病の罹患率は女性の方が高い。近年、分子メカニズムとして髄鞘形
成細胞であるオリゴデンドロサイト(OL)の機能障害や細胞死による髄鞘の減少が注
目されている。加えて男性と比べて女性では神経軸索径が小さく、鬱病モデルの解析
や認知機能に重要である神経活動依存的な髄鞘形成の研究からも、小径軸索の髄鞘化
がより影響を受け易いことが示されている。本課題では小径軸索髄鞘化・脱髄が解析
可能な遺伝子改変マウスを作成し、組織形態学的・生物学的解析、行動解析を行い、
その効果を検証する。令和 7 年度はシングルセル RNA-Seq 解析を行い、雌雄間で異な
る特徴的な細胞集団の遺伝子発現をプロファイリングする。
【成果の活用】活性化制御因子の同定、小径軸索髄鞘化・脱髄における性差の分子メカ
ニズムを解明することにより、認知症・鬱病研究への応用が期待できる。
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