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資料2‐1 令和6年度 業務実績評価書(案) (9 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59633.html
出典情報 厚生労働省国立研究開発法人等審議会 高度専門医療研究評価部会(第39回 8/5)《厚生労働省》
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様式2―1―4-1(別紙)
中 長 期 目 標
中 長 期 計 画

国立精神・神経医療研究センター
令 和 6 年 度 計 画
主な評価軸(評価の視
点)、指標等

年度評価

項目別評価調書
法人の業務実績等・自己評価

主な業務実績等

ジュースがどのように作用するかは示されてい
なかった。また、コーヒーについては、砂糖入
りとブラックに分けて解析した研究は限られて
いた。
40-74歳の地域住民コホート約10万人を対象
としたアンケート調査で、飲料摂取と5年後の
抑うつとのリスクとの関連を縦断調査した結
果、甘味飲料、炭酸飲料、野菜・果物ジュー
ス、砂糖入りコーヒーによる抑うつリスク上昇
するとともに、ブラックコーヒーにおいては抑
うつリスク低下することを確認できた。
野菜・果物ジュースと抑うつの関連を示した
のは本研究が世界初である。


小頭症の新しい病態メカニズムを発見

小頭症の原因遺伝子であるAUTS2が、中間神
経前駆細胞において幾つかの重要な遺伝子の働
きを抑えることで細胞分裂の回数を増やし、そ
こから生まれる大脳皮質浅層神経細胞を増加さ
せることを見出した。この遺伝子の機能が損な
われると、中間神経前駆細胞の分裂が減少し、
結果的に大脳皮質の浅層神経細胞数とサイズが
減少し、小頭症が引き起こされる。本研究によ
って、中間神経前駆細胞の分裂不全による大脳
皮質浅層の縮小という、新たなタイプの小頭症
の病態メカニズムが明らかになった。

自己評価



うつ病の発症リスクを有する者においては、
経験した出来事の中にネガティブな事柄が含ま
れる時に出来事の全体像(=文脈)を正しく記
憶していないこと、また、こうした不確かな記
憶形成は脳の扁桃体―腹内側前頭前皮質間の機
能結合や代表的なストレスホルモンであるコル
チゾールの分泌量に関連することを明らかにし
た。さらに、そのような不確かな記憶は、より
長期的な文脈情報の想起障害である自伝的記憶
の過剰一般化に繋がり、その結果うつ病の発症
リスクが高まることが示された。この知見は、
出来事が起きた段階で文脈情報の記憶形成を促
す介入アプローチが、従来の心理療法とは異な
るうつ病の新たな治療法になり得る可能性を示
唆している。
・ 注意欠如・多動症(ADHD)の遺伝的リスクと
子供のゲーム利用時間の増加に与える影響
精神保健研究所 知的・発達障害研究部で
は、浜松母と子の出生コホート636名を対象
に、幼児期から学童期のゲーム時間の変化を解
析した。その結果、年齢とともにゲーム時間が
顕著に増える群が存在し、遺伝子解析の結果、
この群に含まれる子どもではADHDの発症に関連
する遺伝的な変化を多く有することが明らかと

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ネガティブな出来事における不確かな文脈
記憶形成

うつ病の発症リスクを有する者において
は、経験した出来事の中にネガティブな事柄
が含まれる時に出来事の全体像(=文脈)を
正しく記憶していないこと、また、こうした
不確かな記憶形成は脳の扁桃体―腹内側前頭
前皮質間の機能結合や代表的なストレスホル
モンであるコルチゾールの分泌量に関連する
ことを明らかにした。さらに、そのような不
確かな記憶は、より長期的な文脈情報の想起
障害である自伝的記憶の過剰一般化に繋が
り、その結果うつ病の発症リスクが高まるこ
とが示された。この知見は、出来事が起きた
段階で文脈情報の記憶形成を促す介入アプロ
ーチが、従来の心理療法とは異なるうつ病の
新たな治療法になり得る可能性を示唆してい
る。
論文名:Contextual memory bias in
emotional events: neurobiological
correlates and depression risk
classification.
掲載誌:Psychoneuroendocrinology


・ ネガティブな出来事における不確かな文脈記
憶形成

1-1

注意欠如・多動症(ADHD)の遺伝的リスク
と子供のゲーム利用時間の増加に与える影響

精神保健研究所 知的・発達障害研究部で
は、浜松母と子の出生コホート636名を対象
に、幼児期から学童期のゲーム時間の変化を
解析した。その結果、年齢とともにゲーム時
間が顕著に増える群が存在し、遺伝子解析の
結果、この群に含まれる子どもではADHDの発
症に関連する遺伝的な変化を多く有すること
が明らかとなった。さらに、この群では情
緒・行動面の問題が多く見られたものの、兄
弟や友人との交流がその影響を緩和する可能
性も示唆された。本研究は、「ゲーム時間が
長いとADHDになる」との誤解に対し、長いゲ
ーム時間はむしろADHDの早期兆候である可能
性を示した重要な成果であると言える。
論文名:Association Between Genetic Risk
of Attention Deficit Hyperactivity
Disorder and Trajectories of Daily Gaming
Time in Children.
掲載誌:European Neuropsychopharmacology
<目標の内容②>
当センターが担う医療等の分野の推進に向けた研
究活動の状況と、その成果を定量的に量る指標とし
て原著論文及び総説の発表総数を掲げ、中長期計画
期間中に 3,800 件以上あげる。