資料2‐1 令和6年度 業務実績評価書(案) (8 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59633.html |
出典情報 | 厚生労働省国立研究開発法人等審議会 高度専門医療研究評価部会(第39回 8/5)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
中 長 期 目 標
中 長 期 計 画
国立精神・神経医療研究センター
令 和 6 年 度 計 画
主な評価軸(評価の視
点)、指標等
年度評価
項目別評価調書
法人の業務実績等・自己評価
主な業務実績等
医療の質の向上に必要な指
標・根拠に基づく医療
(EBM)・個別化医療の開発
に資するような研究開発
自己評価
3 が活性化され、補体分子 C1q の集積を通じて
除去が促進される。熱性けいれん後にも同様の
反応が起こり、抑制性シナプスの除去を介して
神経回路のバランスが変化する可能性が示さ
れた。本研究成果は、てんかんをはじめとする
様々なシナプス病の病態解明につながること
が期待される。
・中長期に渡って継続的に実
施する必要のあるコホート
研究
<主な評価軸>
(1)担当領域の特性を踏ま (1)担当領域の特性を踏ま
えた戦略的かつ重点的
えた戦略的かつ重点的な
な研究・開発の推進[研
研究・開発の推進
究事業]
研究所と病院の緊密な連携
【重要度:高】
を基本としつつ、国内外の大
担当領域の特性を踏まえ 学・研究機関等との連携を深
た戦略的かつ重点的な研究・ め、精神・神経疾患等につい
開発の推進は、国民が健康な て、シームレスな研究体制を
生活及び長寿を享受するこ 強化し、
「医療分野研究開発推
とのできる社会を形成する 進計画」等を踏まえ、以下の研
ために極めて重要であり、研 究・開発を推進する。成果につ
究と臨床を一体的に推進で いては、国内外の医療機関、研
きる NC の特長を活かすこ 究機関、関係学会等のほか、地
とにより、研究成果の実用化 方公共団体、民間団体等との
に大きく貢献することが求 連携を図りながら、関係者の
められているため。
支援・人材育成、研究成果の普
及につなげる。また、センター
が担う疾患について症例集積
【難易度:高】
性の向上、臨床研究及び治験
筋ジストロフィーや多発 手続の効率化、研究者・専門家
性硬化症などの難治性・希少 の育成・確保、臨床研究及び治
性の高い疾患については、症 験の情報公開並びに治験に要
例集積性の困難さなどから するコスト・スピード・質の適
民間企業等が参加しにくい 正化に関して、より一層強化
という面があり、他の領域に するとともに、First in human
比べその研究開発は世界的 (ヒトに初めて投与する)試
にも遅れている。また、難病 験をはじめとする治験・臨床
等については発症原因・機序 研究体制を強化し、診療部門
等に未解明な部分が多く、治 や企業等との連携を図り、こ
療薬開発等については技術 れまで以上に治験及び臨床研
的にも非常に困難であるた 究につなげる。
め。
また、精神・神経疾患、筋疾
患、発達障害、物質依存症や嗜
癖行動、認知症疾患等の研究
開発への応用を目指し、脳機
能に関わるゲノム、再生、免疫
、変性等の生命現象の機能解
明や、様々な疾患を対象にし
た発症メカニズムの解明等の
ための基礎的な研究と治療法
の開発を更に推進する。
1-1
(1)担当領域の特性を踏ま
えた戦略的かつ重点的な
研究・開発の推進
①
科学的・技術的
観点
(1)担当領域の特性を踏まえた戦略的かつ重点的な
研究・開発の推進
成果・取組の科
① 科学的・技術的観点
研究所と病院の緊密な連携
学的意義(独創性、
を基本としつつ、国内外の大
革新性、先導性、発
学・研究機関等との連携を深
展性等)が十分に
め、精神疾患、神経疾患、筋疾
大きなものである [定性的視点]
患及び知的障害その他の発達
か。
・独創性、革新性、先導性、発展性
の障害(以下「精神・神経疾患
等」という。)について、シー [定性的視点]
・ デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬開発
ムレスな研究体制を構築し、
・ 独創性、革新
への戦略的取り組み
「医療分野研究開発推進計
性、先導性、発展
画」(平成26年7月22 日健康・
性
希少難病であるデュシェンヌ型筋ジストロフ
医療戦略推進本部決定。平成
・ 具体的なイン
ィーに関する、日本・NCNP発の 画期的治療薬開
29年2月17日一部変更)等を踏
パクト
発がさらに発展。
まえ、以下の研究・開発を推進
これまでに唯一実用化されてきた「エクソン
する。
53スキップ型」治療薬ビルトラルセンに次いで、
「エクソン44スキップ型」治療薬(ブロギジルセ
ン: NS-089/NCNP-02)を用いた医師主導治験
(First In Human試験)で有望な成果が得られ、
第Ⅱ相国際共同治験を開始した。
・
脳の免疫細胞がシナプスを選んで除去する仕
組みを解明
脳の中では、不要な神経のつながり(シナプ
ス)を適切に取り除くことが、正しい神経回路の
形成に欠かせない。本研究では、リアルタイムか
つ高解像度でシナプス除去を観察・操作できる
手法を確立し、脳の免疫細胞であるマイクログ
リアが生きた神経細胞から特定のシナプスを選
んで除去する仕組みを明らかにした。神経活動
が高まると、シナプス局所でカスパーゼ 3 が活
性化され、補体分子 C1q の集積を通じて除去が
促進される。熱性けいれん後にも同様の反応が
起こり、抑制性シナプスの除去を介して神経回
路のバランスが変化する可能性が示された。本
研究成果は、てんかんをはじめとする様々なシ
ナプス病の病態解明につながることが期待され
る。
・
飲料とうつ病の関連を解析
野菜・果物の摂取が抑うつに予防的に作用し
得ることを先行研究で発表したが、野菜・果物
7 / 148
論文名:Prophylactic treatment with sialic
acid metabolites precludes the development
of the myopathic phenotype in the DMRVhIBM
mouse model
掲載誌:Nature Communications
ウ
飲料とうつ病の関連を解析
野菜・果物の摂取が抑うつに予防的に作用し
得ることを先行研究で発表したが、野菜・果物
ジュースがどのように作用するかは示されて
いなかった。また、コーヒーについては、砂糖
入りとブラックに分けて解析した研究は限ら
れていた。
40-74歳の地域住民コホート約10万人を対象
としたアンケート調査で、飲料摂取と5年後の
抑うつとのリスクとの関連を縦断調査した結
果、甘味飲料、炭酸飲料、野菜・果物ジュース、
砂糖入りコーヒーによる抑うつリスク上昇す
るとともに、ブラックコーヒーにおいては抑う
つリスク低下することを確認できた。
野菜・果物ジュースと抑うつの関連を示した
のは本研究が世界初である。
論 文 名 : Association of sugary drinks,
carbonated beverages, vegetable and fruit
juices,sweetened and black coffee, and
green tea with subsequent depression: a
five-year cohortstudy
掲載誌:Clinical Nutrition
エ
小頭症の新しい病態メカニズムを発見
小頭症の原因遺伝子であるAUTS2が、中間神
経前駆細胞において幾つかの重要な遺伝子の
働きを抑えることで細胞分裂の回数を増や
し、そこから生まれる大脳皮質浅層神経細胞
を増加させることを見出した。この遺伝子の
機能が損なわれると、中間神経前駆細胞の分
裂が減少し、結果的に大脳皮質の浅層神経細
胞数とサイズが減少し、小頭症が引き起こさ
れる。本研究によって、中間神経前駆細胞の
分裂不全による大脳皮質浅層の縮小という、
新たなタイプの小頭症の病態メカニズムが明
らかになった。
論 文 名 : The microcephaly-associated
transcriptional regulator AUTS2 cooperates
with Polycomb complex PRC2 to produce
upper-layer neurons in mice.
掲載誌:The EMBO Journal