資料2‐1 令和6年度 業務実績評価書(案) (23 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59633.html |
出典情報 | 厚生労働省国立研究開発法人等審議会 高度専門医療研究評価部会(第39回 8/5)《厚生労働省》 |
ページ画像
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
中 長 期 目 標
中 長 期 計 画
国立精神・神経医療研究センター
令 和 6 年 度 計 画
主な評価軸(評価の視
点)、指標等
断法・治療法の開発を行
う。また、その結果をヒト
自閉症への適用を行う。
年度評価
項目別評価調書
法人の業務実績等・自己評価
主な業務実績等
発に向けた複数の重要な進展があった。まず、自閉
症モデル・マーモセットの大脳皮質において、局所
的なシナプス可塑性の異常とそのオキシトシンに
よる修復可能性を二光子顕微鏡で可視化し、投射
特異的な回路病態の存在を明らかにした。また、同
モデルを用いた広域ECoG記録と数理モデリングに
より、階層的な予測符号化過程の異常を初めて実
証し、個体ごとの神経生理的サブタイプの違いを
捉える可能性が示された。さらに、現在投稿中の研
究では、ヒト死後脳、マーモセット、オルガノイド
を用いた統合解析により、自閉症にはグリア先行
型(G1)を含む三つの分子サブタイプが存在し、G1
サブタイプがバルプロ酸マーモセットと高い一致
を示すことを明らかにした。G1ではH3K27acの異常
活性化を含むエピゲノム的特徴が際立っており、
同様の変化がマーモセット側でも確認された。さ
らに、VPAマーモセットのMRI解析ではuncinate
fasciculusのFA低下が確認され、ヒト側の再解析
でも同部位のFA値が二峰性を示し、社会性スコア
との関連が明らかとなった。これらの結果は、マー
モセットを中核とするモデル体系がヒト自閉症の
分子・回路・構造的特徴を再現しうることを示し、
バイオマーカー開発や個別化介入への橋渡しとな
るトランスレーショナル・リサーチの展開に現実
的な道筋を与えるものである。
・ 神経の修復や適応のメ
カニズムの解明、ミエリ
ン化を評価するマイクロ
流体デバイスの開発を通
じて、神経精神疾患の治
療薬開発へ向けた標的分
子の探索及び評価系の構
築を目指す。
12.神経の修復や適応のメカニズムの解明、ミエリ
ン化を評価するデバイス開発を通じた神経精神疾
患の治療薬開発へ向けた標的分子の探索及び評価
系の構築を目指す研究
アルツハイマー病や脊髄損傷後の神経回路を修
復させる有力な標的分子としてSynaptotagmin 4,
Hnrnpu, CCN1を見出した (Higuchi et al., J.
Neurosci., 2024; Quan et al., J.
Neuroinflammation, 2025;Hirabayashi et al.,
J. Pharmacol. Sci., 2025)。また、マイクロ流
体デバイスを用いてミエリンの巻き付きを評価す
る実験系を確立した。
・ 全国の生物学的精神医
学の共同研究体制である
COCORO を運営し、ゲノム
や脳画像等マルチモーダ
ルな生体試料と情報を集
積し、この多施設大規模
サンプルにおいて再現性
が確認される確固とした
精神疾患の病態を見出す
研究を行う。
13. 全国の生物学的精神医学の共同研究体制である
COCOROを運営し、ゲノムや脳画像等マルチモーダ
ルな生体試料と情報を収集し、精疾患の病態を見
出す研究
オールジャパンのCOCOROのデータを用いて、4
大精神疾患(統合失調症,双極症,抑うつ症,自
閉スペクトラム症)の患者2,526名と健常者3,078
名のMRI 脳構造画像を用いた大脳皮質下領域の体
積のクラスタリング解析により認知機能および社
会機能と関連する4つの脳バイオタイプを昨年度
に見出した.この研究を臨床現場に落とし込むべ
く,大脳皮質下体積のクラスタリングにより定義
された4つの脳バイオタイプのうち,辺縁系が著
しく小さいバイオタイプ1に注目し,その臨床的
意義を詳細に検討した.側脳室拡大(Enlarged
Ventricle: EV)がバイオタイプ1の代表的特徴で
あることが見いだされた.EVが健常者の3標準偏
差以上であることで判別することにより感度・特
異度99%の高い判別能を示した.一方で,約1%の
健常者にもEV認められたためさらなる層別化指標
22 / 148
1-1
自己評価