資料1‐1 令和6年度 業務実績評価書(案) (81 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59553.html |
出典情報 | 厚生労働省国立研究開発法人等審議会 高度専門医療研究評価部会(第40回 8/7)《厚生労働省》 |
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様式 2―1―4-1(別紙)
中 長 期 目 標
国立成育医療研究センター
中 長 期 計 画
令和6年度計画
エ 小児領域の感染症(輸入
感染症、耐性菌問題) の予
防、治療の充実・強化に取り
組む。
オ 増加傾向にある小児炎症
性腸疾患(クローン病、潰瘍
性大腸炎など)やアレルギー
疾患、小児臓器不全( 心不
全、呼吸不全、腎不全、肝不
全、免疫不全等)、急 性脳
症・脳炎など急性期神経疾患
の治療の充実・強化に取り組
むものとする。
年度評価
項目別評価調書
主な評価軸(評価の視点)、指
標等
1-3
法人の業務実績等・自己評価
主な業務実績等
自己評価
エ 分子生物学的手法を用いた病原体
の診断法の開発と導入を行う。新たな
治療法を導入するために、情報を集
め、小児において未承認の治療・予防
については、必要に応じて研究を実施
し、エビデンスの創出を図る。
また、院内における高い感染防御シ
ステムを維持すると共に、起因病原体
が不明の感染症に対して患者検体から
遺伝子を増幅し、遺伝子を解析した
り、次世代シーケンサーを用いて、早
期の起因病原体の診断システムを構築
する。
・分子生物学的手法を用いて、55 種類に及ぶ病原体
を検出する検査パネルを用いて、病原体の検索・否
定を迅速に行い、院内感染対策・抗微生物薬の適正
使用に令和 6 年度も継続的に貢献した。
・既存の検査では原因不明の新生児の重症感染症に
おいて、遺伝子学的検査を行い、エコーウイルス 11
と同定した。エコーウイルス 11 による 3 例の致死的
感染症を報告し(Euro Surveill 2025)、日本にお
けるエコー11 のサーベイランスの構築に貢献ができ
た。
・次世代シーケンサーの臨床応用システム構築
(MRSA 感染症の院内伝播の評価)にむけて令和 6 年
度も引き続き検証を行っている。
・日本においては小児に対して未承認であるフルオ
ロキノロン系抗菌薬を、倫理委員会の管理下のも
と、耐性菌感染症である 12 例に使用した。有意な有
害事象を認めなかった。免疫不全者の重篤な RS ウイ
ルス感染症に対して、リバビリンを 3 例に使用し、
効果を得ることができ、有意な有害事象を認めなか
った。
・重症患者や免疫不全患児の多い当
センターにおいて、承認薬剤のみで
は感染症治療が不十分なことがある
が、慎重にモニタリングを行いなが
ら未承認薬剤を使用することで感染
症を適切に治療し救命につなげるこ
とが継続的にできた。
オ 増加傾向にある小児炎症性腸疾患
(クローン病、潰瘍性大腸炎など)や
アレルギー疾患(食物アレルギー、ア
トピー性皮膚炎、気管支喘息、アレル
ギー性鼻結膜炎(花粉症を含む)、食
物蛋白誘発性胃腸症、好酸球性消化管
疾患、薬物アレルギー等)、小児臓器
不全(心不全、呼吸不全、腎不全、肝
不全、免疫不全等)、急性脳症・脳炎
など急性期神経疾患の診断・治療の充
実・強化に取り組む。造血細胞移植が
有効な疾患に関しては、小児がんセン
ターと連携して積極的に施行する。
以上のように当センターでは高度な医
療が行われているが、救命できても多
臓器に障害が残り、医療的ケアを必要
とすることもある。その場合の BioPsycho-Social な対応を総合診療部が
担い、支援していく。
・障害が多臓器に渡ったり、知的障害を伴ったりす
る場合は、総合診療部が主治医となって専門診療科
をコーディネートし、入院管理をしている。また、
術後症例などで呼吸管理や栄養管理が難しい場合
は、総合診療部が併診している。
・総合診療部によるトータルケアと
しての支援が認知されてきたが、対
診依頼の方法などは改善する必要が
ある。
中心拠点病院と都道府県拠点病院間の連携を図るこ
とを重視し、重症例や診断困難症例など専門性の高
いアレルギー疾患医療の診断・治療に関して医療機
関からの相談に対応し、支援を実施している。具体
的には、アレルギー疾患医療連携体制の更なる強化
等のため、都道府県アレルギー疾患医療拠点病院と
の間でメールやオンラインによる相談を実施し、治
療方針や制度面等に関する相談をメールあるいは問
い合わせフォーム形式で受付け、指導医に確認のう
え数日以内に回答、必要に応じて特殊検査等の実施
を行うシステムを構築した。当センターは 4 診療科
(総合アレルギー科、皮膚アレルギー科、消化管ア
レルギー科、鼻アレルギー科)ならびに 4 評価支援
室(視機能評価支援室、免疫機能評価支援室、遺伝
情報評価支援室、行動機能評価支援室)の協力体制
により総合医療的、全人的、かつ先進的なアレルギ
ー診療を提供し、先端医療研究機関としての経験を
難治重症例に対する免疫異常や遺伝的検査など詳細
な評価に活用し、プレシジョン・メディシンとして
還元することを可能にする体制を整えている。あわ
せて、都道府県アレルギー疾患医療拠点病院からの
紹介受診にも対応し、中心拠点病院における検査入
・アレルギー疾患医療における国の
中心拠点病院として、診断支援事
業、医師に対する研修支援事業、患
者や家族等に対する相談事業、治療
と仕事の両立支援事業を実施し、目
標を達成した。
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・分子生物学的手法を用いた病原体
検索を迅速に行うことで適切な感染
症学的診断治療を行うことが継続で
きている。システムをさらに発展さ
せ、更なる効率化を行っている。
・分子生物学的検査を適宜使用し、
その結果を報告することで、タイム
リーに社会へ注意喚起を促すことが
できた。