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令和5年版厚生労働白書 全体版 (97 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/22/index.html
出典情報 令和5年版厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会(8/1)《厚生労働省》
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第1部

つながり・支え合いのある地域共生社会

6 セルフ・ネグレクト

(セルフ・ネグレクト状態の高齢者は、その原因が多様であり、支援を拒否している場合
いわゆる「セルフ・ネグレクト」は、法的な定義はないが、医療・介護サービスの利用を拒否する

トにおいて、自治体が考える高齢者のセルフ・ネグレクトの原因は、
「本人の認知症(疑いを
含む)

(83.6%)

「本人の精神疾患(疑いを含む)

(82.4%)

「本人の知的障害(疑いを含
む)

(73.6%)といった障害や疾病に加え、
「経済的困窮」
(70.4%)や「家族・親族とのトラ
ブル、人間関係」
(69.5%)

「近隣住民とのトラブル、人間関係」
(57.1%)といった、経済的
要因や家族・親族などとの関係性などが上位を占めている(図表 2-2-29)
。また、
「セルフ・
*37

ネグレクトや消費者被害等の犯罪被害と認知症との関連に関する調査研究事業報告書」

よると、セルフ・ネグレクト状態の高齢者のうち、独居者が 70%以上を占めていた*38。
図表 2-2-29

2

福祉制度の概要と複雑化する課題

「自治体の包括的権利擁護体制に関する調査研究報告書」 によると、自治体へのアンケー
*36



など*34により、社会から孤立し、生活行為や心身の健康維持ができなくなっている状態である*35。



もある)

自治体へのアンケートにおいてセルフ・ネグレクトの原因として挙げられたもの

1. 近親者の死亡や病気
2. 本人の認知症(疑いを含む)
3. 本人の精神疾患(疑いを含む)
4. 本人の知的障害(疑いを含む)
5. 本人のその他障害
6. 本人の病気(2・3・4・5 を除く)
7. 本人の失業
8. 経済的困窮
9. 家族 ・ 親族とのトラブル、人間関係
10. 近隣住民とのトラブル、人間関係
11. 行政への不信感
12. 利用できる制度 ・ サービスを知らない
13. 制度 ・ サービスへの不信感・無理解
14. 行政や地域住民の目が届きにくい
15. その他
16. わからない
合計

回答数
472
646
637
569
356
325
267
544
537
441
221
425
370
319
21
62
773

割合
61.1%
83.6%
82.4%
73.6%
46.1%
42.0%
34.5%
70.4%
69.5%
57.1%
28.6%
55.0%
47.9%
41.3%
2.7%
8.0%
100.0%

資料:自治体の包括的権利擁護体制に関する調査研究報告書(平成 30 年度)
(注) 全国 1,741 の市区町村を対象とした郵送調査(回収率 44.4%)によるアンケート結果である点に留意が必要。

今後、高齢化に伴い認知症の方の増加が見込まれることや人間関係の希薄化が進んでい
ることなどを考慮すると、セルフ・ネグレクト状態の高齢者の増加が懸念される。また、
その背景に経済的困窮や家族や近隣住民などとの人間関係が挙げられていること、中高年
* 34 サービスの利用を拒否する場合のほか、サービスを知らない場合や、認知症等により知っていても自らサービスの利用を求めるこ
とができない場合などもある。
* 35 厚生労働省 2021(令和 3)年度老人保健健康増進事業「高齢者虐待等の権利擁護を促進する地域づくりのための自治体による計画
策定と評価に関する調査研究事業報告書」によると、全国の市区町村における高齢者虐待対応を主管する部署へのインターネットアン
ケート調査の結果、10 万人当たりのセルフ・ネグレクト発生件数は 2.99 件であった。
* 36 厚生労働省 2018(平成 30)年度老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業分)「高齢者の権利擁護における基礎自治
体での相談体制・事例対応の実態把握等に関する調査研究事業」における報告書。
* 37 厚生労働省 2014(平成 26)年度老人保健健康増進等事業「セルフ・ネグレクトや消費者被害者等の犯罪被害と認知症との関連に
関する調査研究事業」における報告書。
* 38 同調査では、市町村高齢福祉担当部署と地域包括支援センターに対して、セルフ・ネグレクト状態にある高齢者の事例概要の提供
依頼を実施し、市町村高齢福祉担当部署から 398 件、地域包括支援センターから 1,581 件の事例が提供された。市町村から提供された
事例の 77.7%、地域包括支援センターから提供された事例の 72.9%で、高齢者の状態は「同居者なし(独居)」であった。

令和 5 年版

厚生労働白書

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