よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


令和5年版厚生労働白書 全体版 (122 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/22/index.html
出典情報 令和5年版厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会(8/1)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

推進総合戦略(新オレンジプラン)と
生活について互いに話し合う様子か
して7つの柱が示され、その  つ『認
ら、安心して自分のことを話せる環境
知症の人やその家族の視点の重視』は、
が当事者にとって必要であることを
認知症とともに誰もが自分らしく暮らし続けられるまち
コラム
全てに共通する重要な柱であること
実感した。
(静岡県藤枝市)
が示された。これまで認知症施策とし
認知症と診断された時のことや日
ついて互いに話し合う様子から、安心して自
藤枝市では、2012(平成 24)年度から
て様々な事業に取り組んできたが、こ
分のことを話せる環境が当事者にとって必要
認知症地域支援推進員を配置し、市内の医療 頃の思いを話す中で「こういったこと



や介護のネットワークづくりにいち早く取り
れらが本人や家族の視点に立ったも
組み始めた。委員会(構成員:医師会、地域
のになっていたのか、見つめ直すきっ
包括支援センター、認知症介護家族の会)や
かけとなった。コールセンターの相談
認知症支えあいコールセンターの設置、家族
を対象とした交流会の開催等の認知症施策に
3 件数や交流会の参加人数からも、認知
重点的に取り組んできた。
症の人や家族の声が藤枝市の認知症
施策に反映されていないことが課題
認知症施策の転換
としてうかがえ、認知症の人と家族の
2015(平成 27)年 1 月に認知症施策推進
総合戦略(新オレンジプラン)として 7 つの
声を聴くことに取り組み始めた。
柱が示され、その 1 つ『認知症の人やその家
(平成
)年度には、認知症の
族の視点の重視』は、全てに共通する重要な


「つながり・支え合い」のある地域共生社会の実現を目指して

人と家族を対象に「心の声アンケート」
柱であることが示された。これまで認知症施
策として様々な事業に取り組んできたが、こ
を実施。アンケートの結果から、認知
れらが本人や家族の視点に立ったものになっ
症の人本人の声を聴ける仲間づくり
ていたのか、見つめ直すきっかけとなった。
と当たり前の暮らしをみんなで支え
コールセンターの相談件数や交流会の参加人
数からも、認知症の人や家族の声が藤枝市の
る地域づくりが必要であると感じた。

認知症施策に反映されていないことが課題と

してうかがえ、認知症の人と家族の声を聴く
 当事者
同士の出会い
ことに取り組み始めた。
~ 本 人 が2016(平成
安 心 し て28)年度には、認知症の人
話せる環境 づくり
と家族を対象に「心の声アンケート」を実
~
施。アンケートの結果から、認知症の人本人
「自分の着ている服がおかしくな
の声を聴ける仲間づくりと当たり前の暮らし
をみんなで支える地域づくりが必要であると
感じた。

ミーティングを開催することへと発展した。


本人ミーティングの中で、よく話題に挙が
本人ミーティングの中で、よく話題

るのが “ 工夫 ” の話である。認知機能の低下に

に挙がるのが“工夫”の話である。認
より起こる生活の中での不便さや困りごとに
知機能の低下により起こる生活の中
ついて、それぞれが行っている工夫を情報交
換している。安心して集まれる場所があるこ
での不便さや困りごとについて、それ
とで、
(認知症を)自分だけの課題ではなく、
ぞれが行っている工夫を情報交換し
仲間の課題と一緒に考えることにも繋がり、
ている。安心して集まれる場所がある
徐々に当事者同士の繋がりの輪が広がった。
藤枝版認知症本人ガイドの作成

本人の声は認知症施策の道標となり、これ

当事者同士の出会い
~本人が安心して話せる環境づくり~

までの普及啓発の在り方を見直すことにも繋

「自分の着ている服がおかしくないかなっ

関する情報は、家族に向けて発信されている

て心配で、服を選ぶのが大変。
」と服装選び

ものが多く、本人の視点に立った情報の発信

や言葉の出づらさに悩み、
「外に出たい気持

ができていなかった。そこで、認知症の本人

ちはあるけれど自信がない」と話す若年性認

を中心に“ 認知症になってからも自分らしく暮

知症の女性がいた。この女性の抱える悩みや

らす ” ために大切なことを、診断前から現在

生活の課題はフォーマルなサービスで解決で

に至るまでの経験を振り返りながら本人同士

きるものではなかった。他の当事者に生活上

で話し合い、認知症の本人の視点から必要な

の悩みの解決方法について相談したところ、

情報や、伝えていきたいことをまとめた、藤

当事者同士で日頃の悩みを話しあう機会を設

枝版認知症本人ガイド『あなたへ~認知症の

けることにつながった。

わたしたちから伝えたいこと~』を作成した。

実際に当事者同士が出会い、日頃の生活に

108

であることを実感した。
を誰に相談して良いか分からなかっ
認知症と診断された時のことや日頃の思い
た。
友達にも言えなかった。」という女
を話す中で「こういったことを誰に相談して
性の声があり、定期的に本人ミーティ
良いか分からなかった。友達にも言えなかっ
た。」という女性の声があり、定期的に本人
ングを開催することへと発展した。

令和 5 年版

厚生労働白書

がった。藤枝市の認知症ケアパスや認知症に