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令和5年版厚生労働白書 全体版 (129 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/22/index.html
出典情報 令和5年版厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会(8/1)《厚生労働省》
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第1部

つながり・支え合いのある地域共生社会

座間市の住まいの支援の主な担い手

な不動産店の開拓を行ったりするものだ。

メートル、神奈川県のほぼ中央に位置してい

あり、148 件で賃貸借契約が成約した。

神 奈 川 県 座 間 市 は、 東 京 か ら 約 40 キ ロ

2021(令和 3)年度には、759 件の相談が

る。人口約 13 万人、世帯数約 6.1 万世帯で

相談者の年代、性別、障害の有無などは多

ある(2023(令和 5)年 1 月 1 日現在)。

様だ。例えば、生活保護の受給対象にはなら
ないがインターネットカフェで生活をしてい

住まいの支援として、生活困窮者自立支援法

る方や離職して社員寮を退去せざるを得な

に基づく任意事業の「一時生活支援事業」を

かった方などがいる。

利活動法人ワンエイド(以下「ワンエイド」

住まいの確保の問題は、安心して居住でき

民間の不動産会社プライムなどと連携して支

る場所が見つかるとそこがゴールと思われて

援を担っている。

しまいがちだ。しかし、実際にはスタート地

ワンエイドの理事長とプライムの社長は共

点に立ったにすぎない。

に不動産会社の従業員であった。不動産会社

住まいに困難を抱える方は、金銭管理や仕

勤務時に、借主としてリスクが高いとされる

事などに関しても課題を抱えていることが多

高齢者の仲介を断らざるを得なかった経験か

い。また、物件の貸主(大家の方)の立場か

ら、一般的に入居が困難な方の住まい支援に

らは、騒音問題による近隣トラブル、孤立死

踏み出した。

のリスク、あるいはごみ屋敷化などの懸念を

住まいに困難を抱える方は、座間市役所か
らの紹介を受けて、または直接ワンエイドに
来て本人の状況や希望を相談する。

住まいの支援の概要

持たれることも避けられない。
この点、ワンエイドとプライムの連携は強
みだ。入居後も、孤立死を防ぐために見守り
サービスを行ったり、他のアパート住民から
管理者のプライムに苦情が来たらトラブルに

座間市の一時生活支援事業は、①一時生活

なる前にワンエイドが相談を受けて様子を見

支援と②地域居住支援からなっており、相談

るようにしたり、継続的な支援を行っている。

者はこれらの支援を受けられる。
①「一時生活支援」は、住まいを失った方
に対して、緊急的に、一定期間(原則 3 か
月)、シェルターを始めとして食事や日用品

住まいの支援とは生活全般の困りごとと
向き合うこと

座間市では、一時生活支援や地域居住支援

など日常生活に必要なものを提供し自立を支

を行いつつ、利用者の意向を踏まえながら、

援するものだ。シェルターは、借上型の賃貸

家計相談のための支援(家計表の作成など)

物件でワンルームのアパートを 2 室用意して

や就労支援なども組み合わせている。住まい

おり、いつでも入居できるよう入居者が退室

の支援では、住居の確保だけを考えるのでは

したらすぐに部屋の清掃などを行っている。

なく、生活全般にまで視野を広げ、包括的に

例えば、DV 被害に遭い暴力から逃れてき

「つながり・支え合い」のある地域共生社会の実現を目指して

という。
)へ委託しており、ワンエイドは、

3

入居はスタート地点に立つこと



実施している。同市は、この事業を特定非営



座間市では、2020(令和 2)年度から、

行うことが重要なのだ。

たが、生活環境を大きく変えられず婦人保護

座間市では、2021(令和 3)年 6 月に、

施設等の入所を望まない方などの場合は、ワ

庁内関係部局、ワンエイド、不動産団体、空

ンエイドに相談が来た後、基本的には、即日

き家対策支援団体など 10 団体・10 部署で

でシェルターに入居が可能だ。2021(令和

「居住支援協議会」を設立し、住まいの支援

3)年度は 18 件の利用があった。

に関する今後の方針の検討などを行ってい

②「地域居住支援」は、シェルター利用者

る。同協議会では、大家の方(貸す側)の不

や、それ以外で住まいに困難を抱える相談者

安≒住まいの課題を抱える方(借りる側)の

に対して、物件情報の提供、不動産会社への

生活の困りごとだと考えている。例えば、家

同行などの支援をしたり、理解のある協力的

賃滞納といった貸す側の「不安」の裏には、

令和 5 年版

厚生労働白書

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