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令和5年版厚生労働白書 全体版 (398 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/22/index.html
出典情報 令和5年版厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会(8/1)《厚生労働省》
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2 最近の食品安全行政の主な動き

(1)食品衛生規制の見直し

2003(平成 15)年の食品衛生法等の改正以降の食を取り巻く様々な環境変化への総合

的な対応を図るべく、広域的な食中毒事案への対策強化((2)参照)、HACCP(ハサッ
プ)に沿った衛生管理の制度化((3)参照)、営業届出制度の創設や実態等に応じた営業
許可制度の見直し(
(4)参照)、食品リコール情報の報告制度の創設((5)参照)、食品
用器具・容器包装におけるポジティブリスト制度の導入(3(1)4)参照)、特別の注意
を必要とする成分等を含む食品による健康被害情報の収集(3(2)5)参照)等を内容と
する「食品衛生法等の一部を改正する法律」
(平成 30 年法律第 46 号)が 2018(平成 30)
年 6 月 7 日に成立し、2021(令和 3)年 6 月 1 日までに順次施行された(図表 8-11-1)。
図表 8-11-1

食品衛生法等の一部を改正する法律の概要

改正の趣旨

健康で安全な生活の確保



8

○我が国の食をとりまく環境変化や国際化等に対応し、食品の安全を確保するため、広域的な食中毒事案への対策強化、
事業者による衛生管理の向上、食品による健康被害情報等の把握や対応を的確に行うとともに、国際整合的な食品用器
具等の衛生規制の整備、実態等に応じた営業許可・届出制度や食品リコール情報の報告制度の創設等の措置を講ずる。
改正の概要
1.広域的な食中毒事案への対策強化
国や都道府県等が、広域的な食中毒事案の発生や拡大防止等のため、相互に連携や協力を行うこととするとともに、
厚生労働大臣が、関係者で構成する広域連携協議会を設置し、緊急を要する場合には、当該協議会を活用し、対応に
努めることとする。

に沿った衛生管理の制度化
2.HACCP(ハサップ)
原則として、すべての食品等事業者に、一般衛生管理に加え、HACCP に沿った衛生管理の実施を求める。ただし、
規模や業種等を考慮した一定の営業者については、取り扱う食品の特性等に応じた衛生管理とする。
*事業者が食中毒菌汚染等の危害要因を把握した上で、原材料の入荷から製品出荷までの全工程の中で、危害要因を
除去低減させるために特に重要な工程を管理し、安全性を確保する衛生管理手法。先進国を中心に義務化が進めら
れている。

3.特別の注意を必要とする成分等を含む食品による健康被害情報の収集
健康被害の発生を未然に防止する見地から、特別の注意を必要とする成分等を含む食品について、事業者から行政
への健康被害情報の届出を求める。
4.国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の整備
食品用器具・容器包装について、安全性を評価した物質のみ使用可能とするポジティブリスト制度の導入等を行う。
5.営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設
実態に応じた営業許可業種への見直しや、現行の営業許可業種(政令で定める 34 業種)以外の事業者の届出制の創
設を行う。
6.食品リコール情報の報告制度の創設
営業者が自主回収を行う場合に、自治体へ報告する仕組みの構築を行う。
7.その他(乳製品・水産食品の衛生証明書の添付等の輸入要件化)

(2)食中毒対策

食中毒の事件数は 1998(平成 10)年をピークにおおむね減少傾向を示してきたが、近

年では 1,000 件前後で推移している(図表 8-11-2)。
食中毒による死者数は、2020(令和 2)年は 3 人、2021(令和 3)年は 2 人、2022
(令和 4)年は 5 人となっている。
食中毒の原因として、近年ではアニサキス、ノロウイルスやカンピロバクター・ジェ
ジュニ/コリなどの占める割合が高まっており、食中毒予防の観点から重要な課題となっ
ている。特に冬場に多発するノロウイルスによる食中毒は、おおむね毎年、食中毒患者数

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令和 5 年版

厚生労働白書