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令和5年版厚生労働白書 全体版 (153 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/22/index.html
出典情報 令和5年版厚生労働白書-つながり・支え合いのある地域共生社会(8/1)《厚生労働省》
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取組みである。スイーツパンの製造・

り立つようにして、持続可能な取組み

第1部
つながり・支え合いのある地域共生社会
販売会社である八天堂のグループ会
を目指している。
社「株式会社八天堂ファーム」と、竹
なお、特定の補助金等に基づいた事
地域共生社会の実現に向けた「商工農福連携」の取組み
原市内で永らく福祉事業を展開して
業ではないため、対象者を「障害者」
コラム

(株式会社八天堂ファーム・社会福祉法人宗越福祉会)
や「生活困窮者」などに限定せず、多

きた「社会福祉法人宗越福祉会」が連
携して行っている。
近年、障害者や生活困窮者の方々が農業に

農地の管理やぶどうの加工・販売は
従事する「農福連携」の取組みが各地で進め
八天堂ファームが担当し、八天堂ファ
られている。
ここでは、広島県竹原市内で企業と社会福
ームからの委託を受けた宗越福祉会

様な状態の方が働く場として運営す
なお、特定の補助金等に基づいた事業では

ることが可能となっている。
ないため、対象者を「障害者」や「生活困窮

者」などに限定せず、多様な状態の方が働く
商工農福連携モデル事業イメージ図
場として運営することが可能となっている。


祉法人が連携して実施している取組みを紹介
がぶどう栽培を担当する。宗越福祉会


する。
では、生活困窮者の方々等の就労訓練

3

の一環として農作業を取り入れてい
る。



「商工×農×福」の連携事業

また、農業技術指導は、国立研究開
発法人農業・食品産業技術総合研究機
訓練の事業を実施する取組みである。スイー
どう園を活用し、生活困窮者の方々等の就労



構の出身者に依頼している。
ツパンの製造・販売会社である八天堂のグ



このように、商品開発や販売、生活
ループ会社「株式会社八天堂ファーム」と、

 始まりは「思い」と「課題」の出会
始まりは「思い」と「課題」の出会いから
いから

竹原市内で永らく福祉事業を展開してきた
困窮者の方々等の支援、農業技術と、
「社会福祉法人宗越福祉会」が連携して行っ
それぞれが持つノウハウ・強みを組み
ている。
合わせた取組みとなっている。

商工農福連携モデル事業イメージ図

取組みが始まったきっかけは、八天堂と宗越
取組みが始まったきっかけは、八天

福祉会の職員が、互いがそれぞれ抱いていた課
堂と宗越福祉会の職員が、互いがそれ

農地の管理やぶどうの加工・販売は八天堂

題や思いを話す中で、意気投合したことだった。

託を受けた宗越福祉会がぶどう栽培を担当す

せにする」という理念から、地域貢献できる

一般的に「農福連携」は収益性の確
ファームが担当し、八天堂ファームからの委
保が課題とされる。しかし、本取組み
の特徴と言えるのが、企業との連携に
る。宗越福祉会では、生活困窮者の方々等の
より収益性の確保を図る「商工農福連
就労訓練の一環として農作業を取り入れてい

ぞれ抱いていた課題や思いを話す中
もともと八天堂では、「食を通じて人を幸
で、意気投合したことだった。

もともと八天堂では、「食を通じて
人を幸せにする」という理念から、地
また、宗越福祉会では、主に高齢者の介護

活動を行いたいという思いがあった。

携」モデルとして実施されている点で
る。

域貢献できる活動を行いたいという
事業を展開してきたが、生活困窮者、ひとり

また、農業技術指導は、国立研究開発法人

親家庭、ひきこもりなど様々な課題を抱える

農業・食品産業技術総合研究機構の出身者に

方を目の前にし、そうした方々が社会参加で

依頼している。

きるための支援の必要性を感じていた。

このように、商品開発や販売、生活困窮者

一方、地域に目を向けると、竹原市では、

の方々等の支援、農業技術と、それぞれが持

後継者不足などで、オーナー不在の農地が増

つノウハウ・強みを組み合わせた取組みと

加、一次産業の継続、土地の活用や保全等の

なっている。

課題を抱えていた。

一般的に「農福連携」は収益性の確保が課

このような「思い」や「課題」を掛け合わ

題とされる。しかし、本取組みの特徴と言え

せることが、本取組みの発想につながった。

るのが、企業との連携により収益性の確保を

地域の中で新しい活動が生まれるために

図る「商工農福連携」モデルとして実施され

は、様々な立場、視点を持った方が出会い学

ている点である。

び合うプラットフォームが必要と言われる。

八天堂の持つ販路や技術を活かして、ぶど

本取組みも、企業と社会福祉法人の職員と

うそのものの販売のほか、ジャムクリームに

いった、異なる立場にある者が、「わがまち

加工して付加価値をつけることで、収益を確

のために何かできないか」と、対話し共感し

保する。収益の一部で、宗越福祉会の支援ス

たことで生まれたものである。

タッフや、生活困窮者の方々等の賃金を賄う。
こうして、法人本体からの事業費用補填や
公的な補助金を前提とするのではなく、事業
単体としての収益で必要経費が賄えるビジネ
スモデルが成り立つようにして、持続可能な
取組みを目指している。

「つながり・支え合い」のある地域共生社会の実現を目指して

紹介するのは、耕作放棄地となっていたぶ

獣害との闘いと対象者の変化

作業にあたる生活困窮者の方々等は、もと

もと精神的な障害を抱え、人との会話が得意
ではなく、社会とのつながりもほとんどない
状態だった。しかし、農作業を通じ、自分が

令和 5 年版

厚生労働白書

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