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最終評価報告書 第3章(Ⅰ~Ⅱ4) (79 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28410.html
出典情報 健康日本21(第二次)最終評価報告書を公表します(10/11)《厚生労働省》
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⾎管疾患や虚⾎性⼼疾患の発症率を知る⼿段がない。⽇本における 35 歳〜85 歳の年代にお
ける 30 年間の虚⾎性⼼疾患死亡の推移を特殊な統計モデルで推計した研究では、⾼齢化によ
る死亡率の増加がかなり抑制されており、増加を抑制できたと考えられる虚⾎性⼼疾患死亡者のう
ち 56%は治療の進歩、35%は⽣活習慣等の改善による危険因⼦の変化が寄与していると推計
されている

11)

。しかし健康⽇本 21(第⼆次)で⽤いたモデルでは治療の進歩の影響は評価で

きていない。
○ また平成 22(2010)年から 10 年が経過すると⼈⼝⾃体が⾼齢化していき、年齢調整の影響
を過度に受けている可能性も考えられる。循環器系の死亡は⾼齢者になるほど等⽐級数的に⾼く
なる。健康⽇本 21(第⼆次)の指標の評価に⽤いた基準⼈⼝は、昭和 60(1985)年モデ
ル⼈⼝を⽤いており、現実の⼈⼝構成とは異なってきている。当時は 75 歳以上の⼈⼝も少なく、
85 歳以上は僅少であった。そのため⾼齢層の分⺟が激減するため直接法で年齢調整を⾏うと死
亡者数が⾮常に低く算出される。令和2(2020)年にようやく次の年齢調整死亡率の基準⼈
⼝(平成 27(2015)年モデル⼈⼝)が厚⽣労働省から⽰され、令和2(2020)年「⼈⼝
動態統計(確定数)」から新基準⼈⼝を⽤いて公表されているため

12)

、今後は新しい基準⼈

⼝を⽤いた指標設定を検討していく必要がある。
○ このように社会的な影響⼒、医療費への負担が⼤きい疾患群であるにもかかわらず、循環器病に
は、疾病の予防、発症者数の実態(発症登録)、治療の均てん化の状況等を⼀体的に俯瞰で
きるシステムがなかった。特に評価という点ではがん登録のような発症登録システムの整備が不可⽋
である。これらの問題点を克服するべく「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、⼼臓病その他の
循環器病に係る対策に関する基本法」が平成 28(2018)年 12 ⽉に成⽴し、基本法に基づく
循環器病対策基本計画(令和2(2020)年 10 ⽉閣議決定)の中で、「循環器病対策全
体の基盤の整備として、診療情報の収集・提供体制を整備し、循環器病の実態解明を⽬指す」と、
データベースの構築に関する検討が進められている。
○ さらに予防においては、⼀次予防(健康増進、疾病予防)、⼆次予防(早期発⾒・早期治療、
重症化予防)、三次予防(再発予防やリハビリテーション)の各段階において(ここでの予防は
「公衆衛⽣」での定義に従う)、国⺠の理解や切れ⽬や漏れのない対策が必要である。引き続き
「スマート・ライフ・プロジェクト」6)等をとおした普及・啓発等により、「適度な運動」、「適切な⾷⽣
活」、「禁煙」と「健診・検診の受診」の取組を進め、⾼⾎圧・脂質異常症の改善や、健診の受診
率の向上を推進していくとともに、基本法に基づいたシームレスな対策を進めていく必要がある。

<各⽬標項⽬に係る課題>
① 脳⾎管疾患・虚⾎性⼼疾患の年齢調整死亡率の減少
○ 循環器病対策推進基本計画に基づき「循環器病の予防や正しい知識の普及啓発」、「保健、
医療及び福祉に係るサービス提供体制の充実」、「循環器病の研究推進」に取り組むことにより、
年齢調整死亡率の減少を⽬指すこととしている。なお現在、国の循環器病対策推進基本計画を
基に都道府県が循環器対策推進計画を作成中であり、全ての都道府県における策定状況等を
引き続き注視していく必要がある。また国は、⽣活習慣や社会環境の改善を通じて、⽣活習慣病
2.(2)循環器疾患

第3章 Ⅱ

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