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最終評価報告書 第3章(Ⅰ~Ⅱ4) (78 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28410.html
出典情報 健康日本21(第二次)最終評価報告書を公表します(10/11)《厚生労働省》
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ステロールの結果を優先して評価した場合と同じ結果(「C 変わらない」)である。上記の理由から、
測定精度上、平成 28(2016)年までのLDLコレステロールの測定結果を⾒る際には注意が必
要であるが、総コレステロールを⽤いた場合の評価も、性別、年齢区分で層化しても概ね同様の傾向
を⽰しており、どの層でも「変わらない」という解釈で問題ないと考えられる。
現⾏の特定健康診査・特定保健指導では、メタボリックシンドロームに着⽬し、内臓脂肪と関連が
強いトリグリセライドとHDLコレステロールを特定保健指導の階層化に⽤いているが、もともとメタボリ
ックシンドロームという概念が、スタチンでLDLコレステロールを下げても動脈硬化性疾患を発症しや
すい状態の探索から⽣まれた「残余リスク」に由来するものであるため、階層化基準となっているトリグリ
セライドとHDLコレステロールとは別に、LDLコレステロールのコントロールに関する対策も必要である。
LDLコレステロールの重要性に関しては、改めて「標準的な健診・保健指導プログラム【平成 30
年度版】」にも記載されたが、今後対策を強化するため、循環器疾患の対策に関わる者等への理解
を促していく必要がある。
LDLコレステロールを低下させる具体的な⽅法として、「標準的な健診・保健指導プログラム【平
成 30 年度版】」に、多価不飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の摂取割合に着⽬した指導の重要性等が
記載されている 9)。

4 今後の取組と課題
<領域全体としての課題>
○ 脳⾎管疾患(脳卒中)と⼼臓病を合わせた脳・⼼⾎管疾患(広義の「循環器疾患」)の死
亡者数は、第2位の死亡原因であり悪性新⽣物に迫る疾患群である。また脳卒中は重度の要介
護状態に⾄る原因として認知症と並んで最⼤の原因となっている。健康⽇本 21(第⼆次)にお
ける本領域は、⽣活習慣→危険因⼦(⾼⾎圧、脂質異常症、喫煙、糖尿病)→脳⾎管疾患、
虚⾎性⼼疾患の年齢調整死亡率、という3層構造の⽬標設定になっており、最終的かつ最も重
要な指標が脳⾎管疾患、虚⾎性⼼疾患の年齢調整死亡率であることはいうまでもない。この指標
が順調に低下していたことは⼤きな成果である。
○ しかしながら死亡率の低下は実際の危険因⼦の推移から予測されるよりも⼤きく低下している。も
と も と 健 康 ⽇ 本 21 ( 第 ⼆ 次 ) の 計 画 策 定 に ⽤ い た 推 計 モ デ ル は 、 EPOCH - JAPAN
(Evidence for Cardiovascular Prevention from Observational Cohorts in Japan)
研究の危険因⼦と死亡率の関連から単純な推計をしており、治療等による同⼀個⼈の⻑期的な
危険因⼦の推移等は考慮していない。これは推計できるエビデンスがないということと、無理にモデル
を作ると仮定しなければならない事象が多くなり過ぎて、かえって予測が怪しい結果になる可能性が
⾼かったためである。そのため単純に危険因⼦のレベルが異なる別の⺟集団での推計を⽰すというシ
ンプルなモデルとしたため、現実とのズレが何で⽣じていたかという検証には困難が伴う。
○ また根本的な理由として、予防対策の評価は発症率で⾒るべきであり死亡率で⾒るのは限界が
あるということもある。死亡率は、発症率と発症後の致命率の積で決まるが、通常、前者は社会環
境や⽣活習慣の改善や予防対策の効果として、後者は医療技術の進歩によってなされる。したが
って健康⽇本 21(第⼆次)の評価は本来発症率で⾏うべきであるが、残念ながら我が国には脳
2.(2)循環器疾患

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第3章 Ⅱ