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激動の世界を見据えたあるべき財政運営 (93 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20250527/index.html
出典情報 財政制度等審議会 財政制度等分科会(答申・報告書等) 激動の世界を見据えたあるべき財政運営(5/27)《財務省》
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対象となる。こうした「半ば無条件での薬価基準への収載」による財政影
響は予算統制の枠外となっており、また、一旦保険収載された医薬品に対
しては、その後の費用対効果評価の適用も極めて限定的である。
「薬事承認、即、薬価収載」は、1980 年代の日米 MOSS 協議(MarketOriented Sector-Selective talks)で決まった「60 日ルール」により強化
され、明確化されたものだが、そうした運用の起源としては、昭和 36 年
(1961 年)に国民皆保険が実現する前後で生じた「制限診療」を巡る歴
史的な経緯の存在が挙げられる。
なお、日本と諸外国とでは医療制度が異なることにも留意する必要が
あるが、例えば、①英国では、薬事承認後、費用対効果評価(臨床的有用
性、医療経済性の評価)の結果に応じて、NHS(公的医療制度)での償
還が判断され、②仏・独では追加的有用性評価を幅広く適用し、新薬の価
格が決定・調整される仕組みとなっている。具体的には、①英国では、薬
事承認され薬価がついたとしても、保険償還の対象となるとは限らず、地
域の NHS が償還リストを決定している。実際、新薬の1割強の保険収載
が非推奨となっているほか、新薬の3割は、適用場面を限定した上で保険
収載を推奨している。また、費用対効果評価の結果に基づき推奨された残
る5割弱の新薬のうち、一定数については、その結果を活用して償還価格
の調整も行われる。また、②仏・独では新薬の5~6割程度について追加
的有用性無と評価されている。こうした評価の結果に基づきメリハリの
効いた表面価格が決定される。
〔資料Ⅴ-3-30、31 参照〕
イ)我が国における費用対効果評価の適用のあり方の見直し
健康は幸福追求の前提であり、ゆえに医療は多くの国で基礎的なセー
フティネット(社会共通基盤)に位置付けられている。しかし、だからと
いって無尽蔵な医療提供が肯定されるものではなく、他の公共政策分野
と同様、希少な医療資源(人材・財源)を最大限有効に活用し、国民の健
康価値の維持・向上につなげるべきと考えられる。
医療分野でも、国民にとって必要な医療が保障されることを前提に、適
切なエビデンスに基づく費用対効果評価を活用することで、例えば、①比
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