激動の世界を見据えたあるべき財政運営 (26 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20250527/index.html |
出典情報 | 財政制度等審議会 財政制度等分科会(答申・報告書等) 激動の世界を見据えたあるべき財政運営(5/27)《財務省》 |
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を与えるものであり、ひいては経済全体に悪影響を及ぼしかねない。
〔資
料Ⅱ-2-14 参照〕
そうした影響や国際的なプレゼンスを高める観点も踏まえれば、本来
は、国債格付をほかの G7諸国並みに向上させることを目指し、健全な
経済・財政運営に取り組むべきである。
国債の格下げは、決して非現実的な話ではない。フランス21の国債は、
昨年 12 月、政治混乱により財政赤字の規模を縮小できる可能性が低いと
して、主要格付会社ムーディーズの格付が引き下げられた。また、同社に
よる米国の国債の格付は、本年5月、政府債務と利払費の増加などを理由
に引き下げられ、これにより米国は主要格付会社の全てで、最上位の格付
の地位を失うこととなった。国債の格下げに伴い、両国では国内の銀行も
格下げとなった。〔資料Ⅱ-2-12(再掲)
、15 参照〕
財政への信頼がひとたび疑われれば、国債の格下げや金利の急騰など
を招き、市場の混乱、ひいては国民生活・企業経営に悪影響を及ぼしかね
ない。したがって深刻な財政赤字を抱える我が国においては、とりわけ隙
の無い財政運営が求められる。
(3)有事に備えた財政余力の確保
財政健全化は、有事への備えのためにも重要である。金融危機や自然災
害といった有事は、過去に一定の頻度で起きている。その都度、必要な政
策対応を行ったため財政支出は増大し、公債等残高対 GDP 比は非連続的
に大きく増加してきた。問題は、有事が収束した後も財政を平時の水準に
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多くの海外金融機関は取引時の適格担保として認める債券に制限をかけており、例えばシング
ル A レンジ以上の債券しか、原則、適格担保として受け入れない海外金融機関もあるとされて
いる。そのため、国債の格付が例えばトリプル B レンジになると、金融機関が海外金融機関との
取引において日本国債を担保としている場合、追加担保を請求されたり、担保としての受入れを
拒否されたりする事態が起き、海外からの資金調達が困難になる可能性がある。その結果として、
企業の資金調達コストが上昇する可能性がある。
21 フランスでは、昨年6・7月の国民議会(下院)選挙の結果、与党連合が議席を大幅に減らし、
過半数割れが継続。9月に発足した新政権は、財政赤字縮減のために増税などを盛り込んだ予算
案・社会保障財政法案を国会に提出したが、野党から反対され、不信認案も可決した。こうした
混乱の中、12 月、新たな首相が任命された。
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