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激動の世界を見据えたあるべき財政運営 (16 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20250527/index.html
出典情報 財政制度等審議会 財政制度等分科会(答申・報告書等) 激動の世界を見据えたあるべき財政運営(5/27)《財務省》
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であり、引き続き注視していく必要があることに加え、経済の移行過程に
おいて、物価高が続き、実質賃金が伸び悩むことで生活が苦しくなってい
る者がいることも事実である。真に困っている者に対し、丁寧な支援をし
ていくべきである。その際には、我が国経済は、人手不足を中心に供給制
約の局面へと移行しており、こうした状況下で需要が広範に刺激される
効果を有する施策を講じた場合、更なる物価上昇をもたらすなど、真に困
っている者への支援につながらないおそれにも留意しなければならない。
また、我が国でも格差が拡大しているとの指摘がある。供給力の向上やそ
れに伴う持続的な賃上げといった成長と分配の好循環を実現していく中
で、経済全体の構造を的確に見極めた上で、所得や家計状況などに関する
データを丁寧に把握・分析するよう試み、制度全体を通じた再分配のあり
方を検討していく必要がある。
財政に目を転じると、引き続き世界最悪水準の債務残高対 GDP 比であ
ることに加え、
「金利のある世界」になり、さらに金利が上昇する局面に
なったことを看過してはならない。10 年国債の金利が約 16 年ぶりの水
準に達するなど、金利上昇に伴う利払費の増加リスクが顕在化している。
今後、利払費の段階的な増加が見込まれることを真剣に受け止め、それが
政策的経費を圧迫することがないよう、一層の緊張感を持って財政運営
に臨む必要がある。また、自然災害をはじめ今後起こり得る外的ショック
に対し、財政の信認を維持しながら十分な対応が可能となるよう、財政余
力の確保が急務である。
そのためには、経済再生と財政健全化を両立させる歩みを更に前進さ
せることが必要である。
「経済財政運営と改革の基本方針 2024」
(令和6
年(2024 年)6月 21 日閣議決定)
(以下「骨太 2024」という。)で定め
られた経済・財政新生計画の枠組みの下、2025 年度から 2026 年度にか
けて、可能な限り早期のプライマリーバランス黒字化を目指すべきであ
る。そして、その黒字化を通過点として、一定のプライマリーバランスの
黒字幅を確保しつつ、まずは 2030 年度までに、債務残高対 GDP 比につ
いて、コロナ禍前の水準に向けて安定的に引き下げることを目指すべき
である。常に長期を見据えた一貫性のある経済・財政政策の方向性を明確
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