激動の世界を見据えたあるべき財政運営 (23 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20250527/index.html |
出典情報 | 財政制度等審議会 財政制度等分科会(答申・報告書等) 激動の世界を見据えたあるべき財政運営(5/27)《財務省》 |
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昇の要因に関する近年の研究では、財政支出の増加がインフレ率の上昇
を招いたとする実証分析が多くみられている13。最近の理論研究では、特
に供給制約下では財政支出のインフレ率への影響が増幅されることが示
唆されている14。もちろん、必要となる措置は検討すべきであるが、我が
国においては、供給制約に転じ始めている中で、財政支出を行う場合には、
支援対象を真に困窮している層に限定しなければインフレ率の更なる上
昇を招くおそれがあることを考慮しつつ、その影響を見定める必要があ
る。〔資料Ⅱ-2-4参照〕
(2)金利上昇局面における財政運営
国内の継続的な物価上昇・堅調な経済動向を背景に、日本銀行による利
上げ15や長期国債の買入れ縮小16が進められる中、我が国の国債金利は上
昇傾向で推移しており、10 年債は本年3月に一時 1.59%と約 16 年ぶり、
30 年債は本年5月に 3.17%と過去最高水準まで上昇する場面もあった。
足もとでは、国債増発等の財政要因が金利上昇要因として意識される場
面も増えつつある。長期金利の上昇傾向は我が国だけではなく、欧米の長
期金利も、我が国よりも高い水準で、中長期的に上昇傾向で推移している。
〔資料Ⅱ-2-5、6参照〕
例えば、Barro and Bianchi (2023) "Fiscal Influences on Inflation in OECD Countries, 20202023." 、de Soyres, et al. (2023) "Demand-Supply Imbalance during the Covid-19 Pandemic:
The Role of Fiscal Policy."、di Giovanni, et al. (2023) "Quantifying the Inflationary Impact of
Fiscal Stimulus under Supply Constraints."
14 Fornaro (2024) "Fiscal Stimulus with Supply Constraints."
15 令和4年(2022 年)以降、物価上昇率が2%を超える中、昨年3月に 17 年ぶりの利上げを実
施し、その後7月、本年1月には追加利上げを実施した。
16 日本銀行は、
昨年7月、長期国債買入れの減額計画を決定。月間の買入れ予定額(令和6年(2024
年)7月:5.7 兆円程度)を毎四半期 4,000 億円程度ずつ減額し、令和8年(2026 年)1~3月
に3兆円程度とすることとしており、保有国債残高が令和8年(2026 年)3月までにおおよそ
7~8%減少するとの見通しを示している。先行きについては、本年6月の金融政策決定会合に
おいて令和8年(2026 年)4月以降の買入れ方針について検討しその結果を示すほか、必要な
場合には金融政策決定会合において計画を見直すこともあり得るとしている。
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