激動の世界を見据えたあるべき財政運営 (31 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20250527/index.html |
出典情報 | 財政制度等審議会 財政制度等分科会(答申・報告書等) 激動の世界を見据えたあるべき財政運営(5/27)《財務省》 |
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履行確保メカニズムを備えていることに着目すべきである。例えば、EU
各国は中期的な財政計画を策定し、計画を逸脱した場合は欧州理事会に
よる過剰財政赤字手続が発動する25。スウェーデンは中期的な債務残高目
標の達成に必要となる毎年度の歳出上限額を実額で設定しており、それ
を遵守するための措置も法定化され、独立財政推計機関26が達成状況の評
価などを行っている。〔資料Ⅱ-3-8~10 参照〕
次に、今後の財政規律のあり方を考える上では、米国の関税措置が我が
国の経済・財政に与える影響は不透明であり、引き続き注視していく必要
があり、持続的な経済成長を実現していくことは重要であるものの、
「債
務残高対 GDP 比の安定的な引下げ」などの財政健全化目標について、そ
の具体的な数値目標を検討することが重要である。
市場や格付会社は、中期的な債務残高対 GDP 比の動向を注視してい
る。金利が上昇する局面になった中、財政運営への信認確保の観点から、
骨太 2024 等で定められた「債務残高対 GDP 比の安定的な引下げ」につ
いて、もう一段の取組の強化が必要である。
一方、
「安定的な引下げ」と言っても、その具体的な道程は一意ではな
い。我が国の債務残高の累増は、毎年度の PB 赤字に加え、過去の有事対
応における債務急増が原因である。過去 30 年間、我が国は一定の頻度で、
感染症、自然災害、金融危機といった有事に直面し、その都度、債務残高
対 GDP 比が平均 20%超程度、非連続に上昇してきた。今後も同様のペー
スで有事が起こりうる可能性を勘案し、それに十分対応してもなお債務
残高対 GDP 比を安定的に引き下げることで財政余力を確保する観点か
らは債務残高対 GDP 比を「10 年間で▲30%程度」のペースで引き下げ
る必要がある。この場合、債務残高対 GDP 比は 2030 年度には“コロナ
25
欧州理事会は原則年2回(おおむね1月・7月)
、加盟国が報告する財政赤字などの指標等に基
づき、当該加盟国に過剰財政赤字が存在しているかどうかを判断し、勧告する。勧告の実施が不
十分な場合、警告がなされ、それでも事態が改善されない場合に制裁が行われる。
26 財政規律の実効性を担保する観点から、独立財政推計機関の設置やペイアズユーゴー原則(財
源確保義務として、歳出増又は歳入減を伴う施策の新たな導入・拡充を行う際は、恒久的な歳出
削減又は恒久的な歳入確保措置により、それに見合う安定的な財源を確保するという原則)の徹
底等を求める意見があった。
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