激動の世界を見据えたあるべき財政運営 (59 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20250527/index.html |
出典情報 | 財政制度等審議会 財政制度等分科会(答申・報告書等) 激動の世界を見据えたあるべき財政運営(5/27)《財務省》 |
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に対し、これまでは補助金により水田における主食用米以外への転作支
援を行うことで、主食用米価格が大きく下落することを防ぎ、農業者の収
益を確保してきた。
しかしながら、こうした政策には制度疲労が現れており、転換を図る必
要が生じている。今後は、これまでどおり多額の補助金によって転作を進
めるのではなく、国内外の様々なニーズを踏まえた稲作の可能性につい
て真剣に検討すべきではないか。これまでの水田農業は、特定の品種に偏
った主食用米の生産を行うか、現行の補助金を前提とした転作の一環と
して主食用米以外の転作作物を生産するか、のいずれかの行動が主流と
なってきた。しかしながら、足もとではスーパー等の店頭で主食用米の品
薄が生じ、価格が高騰していることに加え、中外食ニーズや訪日外国人増
にけん引され業務用米の需要が増加している。また、規模としては大きく
はないが、米の輸出量も伸びている。
こうした多様なニーズを的確に捉え、特定の品種に偏った主食用米と
補助金に依存しない収益構造を確立し、農業従事者の所得向上を通じて、
担い手を確保していくことが必要である。家庭用の主食用米以外にも、
中・外食用の業務用米や加工用米、米粉用米、輸出用米等のそれぞれの用
途毎の多様なニーズを見逃すべきではない。
例えば、業務用米の観点では、業務用として卸売業者等から販売された
米は主食用米の約 40%を占めるが、業務用に適していると考えられる多
収米70の生産は6%程度と推察されている。また、国産米の価格高騰に直
面する中で、高額な関税の支払いが必要となる民間輸入が拡大している。
こうした事象から、足もとでは業務用への安定供給というニーズに十分
に対応できているとは言い難い状況にある。また、米粉用米の観点では、
仮に徹底的な生産の低コスト化を進めることで、米粉を利用したパン等
を一定の価格帯まで下げられれば、消費量の8割を輸入に頼る小麦に代
わる原材料として、存在感を増すことが期待できる。
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家庭で一般的に食されている主食用米に比べ、単位面積当たりの収量が多い品種。Kg 当たり
の生産コストを下げることが可能であり、業務用を中心とした需要への対応が期待されている。
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