激動の世界を見据えたあるべき財政運営 (47 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20250527/index.html |
出典情報 | 財政制度等審議会 財政制度等分科会(答申・報告書等) 激動の世界を見据えたあるべき財政運営(5/27)《財務省》 |
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格交渉や価格転嫁に係る下請企業からの評価を点数化した企業リストを
中小企業庁が作成・公表しているが、これを充実させるとともに、当該リ
ストで評価の高い企業に対して補助金の採択審査に当たり加点措置を講
じるなど、価格転嫁の受入状況の「見える化」やインセンティブ付け強化
に取り組むべきである。
〔資料Ⅲ-2-4参照〕
(2)真に必要な大企業支援を図る重要性
①
産業政策の評価枠組み
大企業については、資本基盤は強固でありノウハウも存在することか
ら、中小企業と同様の理由で支援を行う妥当性はない。また、産業政策の
失敗は数多くあるとされており、我が国でも過去、特定産業に対して大企
業も含む支援を行ったものの、プロジェクトは失敗し、期待された成果を
上げられなかった事例が複数挙げられる49。
こうした中、最近の研究では、産業政策について一定の評価のフレーム
ワークを呈示するものがある。第一に支援の目的や、「負の外部性」50等
の「市場の失敗」の存在といった政府が介入する必要性の有無から、その
妥当性を検証すべきである。第二に、補助金のみならず金融支援等を組み
合わせた最適な手法が選択されているか51、専門家によるプロジェクト選
定、定期的なモニタリングやレビューといった仕組みにより、透明性や客
観性を担保しているか52、といった観点から、制度設計の評価が必要にな
49
過去の産業政策を振り返れば、財政支出のいたずらな拡大のみをもって経済成長を図ろうとし
ても、結果が望みがたいだけでなく、むしろ低生産性分野への資本や労働力の滞留を招き、成長
力を押し下げかねないとの意見があった。
50 ある経済主体の意思決定(行為・経済活動)が、市場を介さずに他の経済主体の意思決定に不
利な影響を及ぼすこと。
「外部不経済」とも言い、公害が典型例とされる。
51 長期的にリターンが期待できる分野に対しては金融支援(特に出資)を活用することで、出資
者又は債権者として事業に対するガバナンスを発揮でき、配当や利払い等が見込めるため財政的
影響の面でも優れるといった利点がある。主な原資を国民負担による公的支援によって産業の成
長を促すからには、このような出資からのリターンや、補助金の交付により支援事業が相当以上
の利益を上げた場合の一部納付(補助金適正化法に基づく収益納付規定)について、適正に確保
していくことも重要である。
52 使途や所要額といった支援の内容について、事業者の営業秘密の観点に配意しつつ適切な情報
公開を図っていくことに加えて、支援の成果すなわち社会に還元される利益についても、かかる
仕組み等を通じて透明性や客観性を担保していくことが必要との意見があった。
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