激動の世界を見据えたあるべき財政運営 (15 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20250527/index.html |
出典情報 | 財政制度等審議会 財政制度等分科会(答申・報告書等) 激動の世界を見据えたあるべき財政運営(5/27)《財務省》 |
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(国際秩序の転換点)
世界は激動の時代を迎えた。今回の米国トランプ政権による関税政策
は、世界各国が戦後指向してきた自由貿易体制を根底から揺るがせてい
る。将来、国際経済の枠組みそのものが自国中心主義に変容し、民主主義
等の基本的価値観が揺らいでいく可能性すらある。こうした流れは、果た
して一過性のものだろうか。淵源は、資本主義社会が広がる中での分配機
能低下に伴う所得格差・分断、それによる社会の不安定化であるが、それ
らは先進各国で観察されており、今後も続いていく構造的な変化として
捉える必要があるのではないか。
こうした変わりゆく国際社会の中で、持続可能で豊かな経済社会を築
くためには、足もとの急激な変化に向き合うことも重要だが、その背景に
目を向け、中長期の観点に立ち、新しい経済社会モデルを設計し、冷静に
戦略的な対応を図っていかなければならない。人口減少・少子高齢化とい
う構造的課題が我が国の経済社会に大きな影響を与えていることは論を
俟たない。生産年齢人口の減少は、潜在成長率を押し下げ、経済の停滞を
招きかねない。この難局を乗り越えるためには、短期的な需要刺激策によ
り現状維持を図るのではなく、技術力・供給力の向上により、民需主導の
持続的な経済成長を実現しつつ、同時に、経済成長を支える安心・安全の
基盤である持続可能な社会保障制度の構築や豊かな地域社会を確立する
ことが本質的な最重要課題となる。
(今後の経済・財政運営)
我が国経済は、昨年に引き続き高水準の賃上げに向けた動きが見られ
るとともに、GDP ギャップが改善するなど、新たなステージへ移行しつ
つある。この移行を確実なものとするためには、引き続き生産性の向上等
を通じた成長と分配の好循環を実現し、物価上昇を上回る持続的な賃上
げが実現・定着させることが鍵であり、それが現下の経済運営の基本であ
る。一方で、米国の関税措置が我が国の経済・財政に与える影響は不透明
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