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激動の世界を見据えたあるべき財政運営 (22 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20250527/index.html
出典情報 財政制度等審議会 財政制度等分科会(答申・報告書等) 激動の世界を見据えたあるべき財政運営(5/27)《財務省》
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2.日本経済社会を巡る足もとの課題
(1)物価上昇局面における財政運営
我が国では、食料やエネルギー等の国際的な価格高騰を契機に、円安の
進行と相まって、輸入物価の上昇を起点とする物価上昇が継続しており、
国民生活にも影響を及ぼしている。足もとでは、サービス価格の緩やかな
上昇も続いており、直近3年間、物価は2%を超える水準で推移している。
GDP ギャップは内閣府試算では足もとプラス
(需要超過)に転じるなど、
需給ギャップは解消し、供給不足の局面に転じ始めている。
〔資料Ⅱ-2
-1参照〕
物価上昇局面では名目値である税収の増加が期待される一方、政府支
出も年金等による歳出増がある10。くわえて、名目金利の上昇により、利
払費が段階的に増加していくことが想定され、必ずしも財政収支が改善
するとは言えない。このような環境下、歳出をさらに大幅に拡大させ、財
政収支を悪化させた場合、①財政インフレが起き、物価上昇がスパイラル
的に加速したり、②財政悪化懸念から実質金利が上昇し、利払費が更に増
加したりするリスクがある11。〔資料Ⅱ-2-2参照〕
社会保障分野においては、高齢化等により、デフレ下においても給付費
が雇用者報酬を上回って増加しており、保険料率が上昇している12。これ
にくわえて、様々な改革を行うことなく物価・賃金の伸びを単純に給付に
反映すると、保険料率の更なる上昇につながり、現役世代の負担が更に増
加(可処分所得が減少)することにも留意が必要である。
〔資料Ⅱ-2-
3参照〕
近年、大規模な財政支出がインフレ率の上昇を招く、いわゆる“財政イ

10

歳出については、これまでも、
「骨太方針」等に基づき、経済・物価動向等に配慮しながら予算
編成を行ってきている。
11 物価上昇による実質的な債務の減少額を財源と捉える提案について、ただでさえ債務残高対
GDP 比が世界最悪の水準にあり、これを安定的に引き下げることが政府の目標となっている中
で、我が国の財政運営に対する国際社会や市場からの信認を失墜させかねない考え方であり、留
意が必要との意見があった。
12 税と社会保険料を一体的に捉え、その負担を所得に応じて調整する仕組みが必要との意見があ
った。

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