激動の世界を見据えたあるべき財政運営 (48 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20250527/index.html |
出典情報 | 財政制度等審議会 財政制度等分科会(答申・報告書等) 激動の世界を見据えたあるべき財政運営(5/27)《財務省》 |
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リスクを上回っているか、費用便益分析も重要である。最後に、産業政策
がしばしば財政措置を伴って実施される以上、財政の持続可能性とも整
合的であるか等、その実施に際しての実効性が確保されている必要があ
る。
こうした評価のフレームワークを前提に、産業政策が有効たり得るの
は、政策によって改善される負の外部性が明らかに特定されている脱炭
素分野や、対象セクターでのイノベーションが国内に与える波及効果が
大きい半導体分野といった対象に向けられるものに限られるとの指摘が
あることは、注目に値する。〔資料Ⅲ-2-5参照〕
②
大企業支援の今後の方向性
こうした中、我が国の GX 及び半導体分野への支援は、脱炭素等のエ
ネルギー政策上の観点や、幅広い分野に影響する技術の産業競争力強化、
経済安全保障といった複数の目的を踏まえて実施している。例えば、
「AI・
半導体産業基盤強化フレーム」53に基づく半導体分野の支援について見れ
ば、計画的な支援により民間投資も呼び込めるよう必要な財源を確保し
て実効性を担保している。また、官民の適切なリスク分担の観点を踏まえ、
ガバナンスや財政的影響の面で優れた金融支援に重点を置いていくこと
としている。具体的には、半導体事業者のステージ等に応じ、基幹事業が
量産化段階にある場合や、事業者が自己調達によって一定程度の投資を
実行可能とする財務基盤を有する場合には、出融資や債務保証を積極的
に活用する。くわえて、第三者の外部有識者等による評価の下で、適切な
マイルストーンを設定し、その達成状況を確認し、事業計画の認定・見直
しや支援継続の要否等を判断する枠組みを設け54、透明性を持って説明責
「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」
(令和6年(2024 年)11 月 22 日
閣議決定)
54 過去の産業政策において、既に研究開発や設備投資等に投じられた公費の規模等が、当該事業
が成果を上げる見込みが立たなくなっても、なお見直しや撤退の判断を妨げたと考えられる事例
があること(サンクコスト効果)を念頭に、企業支援に当たっては、外部有識者によるモニタリ
ングを通じ、支援継続の是非も含めた客観的な判断を下していくことが重要との意見があった。
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