激動の世界を見据えたあるべき財政運営 (78 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20250527/index.html |
出典情報 | 財政制度等審議会 財政制度等分科会(答申・報告書等) 激動の世界を見据えたあるべき財政運営(5/27)《財務省》 |
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がら、足もとの医療提供体制の状況を見ると、例えば、医科診療所数はお
おむね増加を続けており、1日当たりの医療費の伸びも大きくなってい
る一方で、地域間、病院・診療所間、診療科間での医師の偏在が課題とな
っており、医療資源の最適な配分が行われているとは言い難い状況とな
っている。
質の高い医療の効率的な提供に向けて、高齢化等の患者像の変化や新
型コロナ後の受診行動の変化に的確に対応し、病院機能の再編・統合や分
化・連携を推進するとともに、日常的な幅広い疾患には地域全体で効率的
に対応できるよう、地域に分散する医療資源を集約化していくことが肝
要である。そのために、新たな地域医療構想や、
「医師偏在の是正に向け
た総合的な対策パッケージ」を、実効性ある形で推進していくことが重要
となる。〔資料Ⅴ-3-3参照〕
①
我が国の医療提供体制の現状と課題
日本では、地域ごとに特色があるものの、諸外国と比べて、総病床数が
多く、平均在院日数も長い。そのため、人口千人当たりの医師数は少なく
ないにもかかわらず、病床百床当たりの医師数は少なくなっている。また、
MRI や CT スキャナーの台数が極めて多く、1人当たり外来受診回数も
多い。医療費と相関性が高いとされる病床数は西高東低の傾向にある。さ
らに、診療所については、都市部で増加傾向にある一方、1診療所当たり
の従事者数が少なく、非効率な運営体制となっているとの指摘もある。こ
うした医療提供体制上の特性は、医療費を増大させる可能性があり、例え
ば医師誘導需要仮説(医師の増加が医療需要を喚起する)や、アバーツ・
ジョンソン仮説(医師間の競争が激しくなるほど、価格競争ではなく設備
投資競争(MRI 等)が起きる)等が示されている。なお、こうした仮説
は、日本にも当てはまるものである。
患者の動向について見ると、病院における患者数は減少傾向にある一
方で、一般診療所における患者数は足もとで増加しており、平成8年
(1996 年)以降で最大となっている。この点、外来診療の受療率で見て
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