激動の世界を見据えたあるべき財政運営 (17 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20250527/index.html |
出典情報 | 財政制度等審議会 財政制度等分科会(答申・報告書等) 激動の世界を見据えたあるべき財政運営(5/27)《財務省》 |
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ことが重要である。
その際、財政の果たす基本的な役割を再確認する必要がある。国家は財
政を通じ、医療・介護・子育て等の社会保障、道路など社会インフラの整
備、教育や防衛・警察、災害発生時の対応といった公的サービスを提供し
ている。こうしたサービスは国民の税や社会保険料によって提供される
ものであり、国民生活を支え、社会全体で備えるべきリスクに対応する役
割を果たすものであるから、我々は国民として応分の負担を行っている。
我々の日々の暮らしは、こうした公的サービスの上に成り立っているが、
公的債務が過度に累積したり、税財源が失われたりすると、例えば、道路
等のインフラの管理や医療等のサービスの提供が滞ることで国民生活に
支障をきたすなど、その安定性が失われることになりかねない。財政の健
全化とは、そうしたリスクを回避し、持続可能で豊かな社会を実現するた
めの努力にほかならない。過去において、ギリシャは財政危機で急激な給
付の削減等1を余儀なくされ、社会生活が大混乱に陥った。無論、ギリシ
ャと我が国では経済的な環境は異なるとはいえ、
「対岸の火事」では済ま
されない。世界が揺れている今こそ、そうしたリスクが現実に起こり得る
ものとして直視し、緊張感を持って正しい選択を行っていくことが求め
られている。
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財政危機時のギリシャにおいては、例えば、年金給付について、月 1,200 ユーロを超える場合、
超過部分の給付を 20%減額し、更に月 1,300 ユーロを超える場合、超過部分の給付を 12%減額
した。また、年金支給開始年齢を 60 歳から、段階的に 67 歳まで引き上げた。さらに、付加価値
税率を 19%から、段階的に 24%まで引き上げた。
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