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予算執行調査資料(総括調査票) (62 ページ)

公開元URL https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/budget_execution_audit/fy2025/sy0706/0706b.html
出典情報 令和7年度 予算執行調査資料(総括調査票)(6/27)《財務省》
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総括調査票

(18)漁業構造改⾰総合対策事業

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②調査の視点
【調査対象年度】平成20年度〜令和6年度
【調査対象数】採択済みの実証事業︓205件(回答事業数︓198件)
1.実証事業のために導⼊した設備の遊休化

国費を投じて実施された実証事業のために導⼊された設備が遊休化してないか。
また、実証期間中のモニタリングや実証期間終了後のフォローアップはできているのか。

2.収益性改善に向けた効果的な実証事業の組成

⽀援額と償却前利益(実証期間中の平均)の増減に関係性は⾒られるのか。
国費の有効活⽤の観点から、実証事業の⼿法の成否を分析し、重点化すべきではないか。

③調査結果及びその分析
<事例①︓⽔耕栽培システム(遠洋まぐろ延縄漁業)>

1.実証事業のために導⼊した設備の遊休化

平成26年8⽉ ⽔耕栽培システムを導⼊
⽬的︓乗組員のストレスの減少、健康の維持増進等
遊休化の経緯︓新鮮な野菜を⾷べられることへの評判
は良好だったが、栽培を担当する船員の負担が⼤きく
不満の声が⼤きかったほか、⼗分な野菜の量や質を確
保できず、使⽤頻度減少。実証終了後、撤去。

〇収益性の⾼い新たな操業・⽣産体制の転換等を促進するために実証期間中に導⼊した設備が、事
業実証中、⼜は、実証期間後に遊休化しているものが11件確認され、基⾦管理団体及び⽔産庁はそ
の事実を⼗分に把握していなかった。
○遊休化した設備には、当該設備がなくとも漁の実施⾃体が可能であり、漁獲量増加やコスト削減
等の収益性向上に直接的に結びつかないという類似性がみられた。具体的には、⽔耕栽培システム、
冷凍設備、⿂艙⽤コンテナ等といった、船内環境の改善や付加価値向上等への期待から導⼊されて
いるもので、撤去する際に代替品を準備する必要もないものであった。
これらの設備では、船上での作業が増加するという共通性もあり、船上で働く船員の数が限られ
ており、常に⼈⼿不⾜である⽔産業において追加⼈員の確保もままならない中で、船上での船員へ
の負荷が増加するものは受け⼊れられておらず、遊休化していると考えられる。

<事例②︓船上の冷凍設備(いか釣り漁業)>
←冷凍機
↓冷凍庫

平成28年8⽉ 冷凍設備を導⼊
⽬的︓船上冷凍による⿂価の向上等
遊休化の経緯︓設備稼働に対応するために追加⼈員
が必要となったが確保できず、船に搭載中も使⽤頻
度は低調。実証終了後、撤去。

○なお、漁に直結する設備については基本的に遊休化しづらいものの、漁法転換時においては、漁業者中⼼の計画では新しい漁法に
対する知⾒が薄い中で、設備の稼働率を⾼めに⾒積もってしまうため、新設備が遊休化してしまっているものも確認された。具体的
には、 撒き餌作成のためのミンチ機を導⼊した際、計画当初は、サバ漁獲のために撒き餌を使⽤した操業を予定していたが、サバ類
の来遊が少なくマイワシが中⼼の操業となったため必要とされなかったもの等がある。
2.収益性改善に向けた効果的な実証事業の組成

<ミンチ機>

【図1】実証期間中の⽀援額と償却前利益増減額との関係(n=205)

償却前利益増減額
(千円)

〇実証期間中に償却前利益が、実証事業開始前よりプラスとなった事業は116件(56.6%)
となり、89件(43.4%)が償却前利益を減らす結果となっているが、実証事業への⽀援額
と償却前利益増減額に相関関係は⾒られず、⽀援額の多寡と事業の成否は直ちに関係は⾒ら
れない【図1】。

⽀援額
(千円)

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