参考資料7 令和6年度障害者虐待事案の未然防止のための調査研究一式 (97 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59173.html |
出典情報 | 社会保障審議会 障害者部会(第147回 6/26)《厚生労働省》 |
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対応策
(1)利用者の状態像に応じた個別支援計画の作成、アセスメントの実施等の徹底に向けた
都道府県による指導の実施
「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」8(以下「障害者福祉
施設等手引き」という。)では、
「Ⅳ 虐待が疑われる事案があった場合の対応」内の「6
個別支援計画の見直しとサービス管理責任者等の役割」において「サービス管理責任者
は、個別支援計画の作成に当たっては、適切な方法により、利用者について、その有する
能力、その置かれている環境及び日常生活全般の状況等の評価を通じて利用者の希望する
生活や課題等の把握を行い、利用者が自立した日常生活を営むことができるように支援す
る上での適切な支援内容の検討をしなければなりません。」と記載している9。
しかし、本事例では、被虐待者が、入所当初から歩行時にふらつきがみられていたもの
の、転倒防止のための個別支援計画の作成、見直しもなされていない状態で支援を継続し
ていた。そのため、複数回の転倒を防ぐことができず、また、転倒後においても虐待者 A
による適切な支援、引継ぎがなされていなかった。
その背景要因として、当該法人において、上記「障害者福祉施設等手引き」の記載が、
個々の職員に十分に理解されていなかったことが挙げられる。
そのため、今後、同様の事例の再発を防止するために、都道府県は、繰り返し虐待が発
生している法人・施設に対する指導監査にあたって、サービス管理責任者により利用者の
状態像に応じた個別支援計画の作成、状態像の変化に応じたアセスメントの実施、個別支
援計画の見直しが行われているかについて重点的に確認することが重要となる。
(2)都道府県による、虐待や権利擁護に関する法人としての認識の徹底に向けた指導の実
施
「障害者福祉施設等手引き」では「Ⅲ 障害者福祉施設等の虐待防止と対応」内の「5
虐待を防止するための体制について」において、虐待事案があった事業所に共通したマネ
ジメント・ガバナンス・組織運営の課題が見られることを指摘している10。また、「6 人
権意識、知識や技術向上のための研修」内では、「① 管理職を含めた職員全体を対象にし
た虐待防止や人権意識を高めるための研修」も例示されている11。さらに、「7 虐待を防
止するための取組について」として「① 事故・ヒヤリハット報告書、自己チェック表と
PDCA サイクルの活用」も挙げられている12。
しかし、当該法人については、本事例が起きる以前から、複数回法人内の施設・事業所
で虐待が発生し、虐待事案の検証と改善計画の作成・実施を行っているが改善がされない
こと、本事例においては事故報告書の提出が1か月後になされ、関係者からの虐待疑いの
通報がなされて初めて本事例が明らかになった経緯がある。また、事故報告書の作成、提
出ルール(どのような事例であれば、いつまでに提出する)が徹底されていなかった。
そのため、今後、同様の事例の再発を防止するために、都道府県には、「虐待があった
8
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課,地域生活・発達障害者支援室,こども家庭庁支援局障害児
支援課,”障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き”,令和6年7月
9
前掲 8,p.30
10
前掲 8,p.13~14
11
前掲 8,p.20
12
前掲 8,p.24~25
93