参考資料7 令和6年度障害者虐待事案の未然防止のための調査研究一式 (91 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59173.html |
出典情報 | 社会保障審議会 障害者部会(第147回 6/26)《厚生労働省》 |
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■事例:精神障害のある 50 代の被虐待者が死亡した事例
本事例は、
「市町村・都道府県における障害者虐待の防止と対応の手引き」1(以降「市
町村・都道府県手引き」という。
)に記載されている、虐待担当部署が相談・通報・届出
を受理し、事実確認調査や虐待の判断、終結の判断等という虐待対応を実施した事例では
ない。しかし、本事例を検証した結果、養護者支援の視点での虐待の未然防止が重要であ
ること、そのための庁内の情報共有や連携体制整備や、振り返りの重要性について、改め
て理解を求めることが、同様の事例の再発防止につながると考え、本事例から得られた教
訓をもとに、虐待対応として求められることや対応上の留意点を記載する。
6-2-1
事例概要
父(虐待者)は、50 代の子(被虐待者)が成人した後、長年離れて暮らし、疎遠
状態にあった。その間、被虐待者の状況が大きく変化しており、生活の見通しが
立たなくなっていた(精神障害の発症、離婚、無職、借金等)。
虐待者は被虐待者の生活を支えるため、自宅に連れ帰り同居することとした。
虐待者は同居生活開始前後、障害福祉サービス相談窓口の他、複数の相談機関を
訪れたが、将来の生活の見通しの立たなさに追い詰められ、殺害に至った。
6-2-2
事実と課題
(1)市役所の障害福祉相談窓口、その他の相談窓口・機関における事実と課題
・虐待者は、障害福祉サービス相談窓口やその他の相談窓口を訪れ、精神障害の
ある被虐待者と同居することになったことによる生活の変化や、被虐待者の病
状を理解することの難しさ、今後の生活の見通しの立たなさ等を口にした。
・障害福祉サービス相談窓口では、親子ともに差し迫った様子が感じられなかっ
たことから虐待の兆候を感じられず、制度やサービスを知りたい相談であると
事実
受け止めた。そして、精神科受診により診断確定後、支援体制を構築するとい
う支援の道筋や、その後の障害福祉サービスの種類や利用に向けた手順の説明
を行った。
・一方、その他の相談窓口では、虐待者の差し迫った様子を感じ取り、傾聴や医
療機関に対して受診に向けた調整や、虐待者が自らを追い詰めないようにとい
う趣旨の助言を行った。
・障害福祉サービス相談窓口は制度やサービスを知りたい相談であると受け止
め、通常の相談事例と同じ対応をしたため、虐待者が被虐待者と自宅に連れ帰
り、同居することになった背景や生活の変化に対する戸惑い等について深く聞
課題
き取りは行わず、通常の受診勧奨やサービスの説明等を行った。
・その他の相談窓口においては、医療機関に対し、受診の前倒しに向けた調整を
行っていたものの、障害福祉サービス相談窓口に対し、当該親子の相談対応履
歴に関する照会や自らの窓口での相談対応に関する情報共有は行わなかった。
1
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課,地域生活・発達障害者支援室,こども家庭庁支援局障害児
支援課,”市町村・都道府県における障害者虐待の防止と対応の手引き”,令和6年7月
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