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参考資料7 令和6年度障害者虐待事案の未然防止のための調査研究一式 (120 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59173.html
出典情報 社会保障審議会 障害者部会(第147回 6/26)《厚生労働省》
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7-3-5 結果の考察と虐待の防止に向けた観点
グループホームにおいて発生した虐待事例 181 件を対象に、当該施設・事業所の概要や虐待者・
被虐待者の属性、事例の概要の集計・分析を行った。以下に、結果の考察と虐待防止に向けた観
点を記す。
なお、回答全体を通じて「不明」が多いため、推察が含まれる考察・観点となることに留意い
ただきたい。

(1)運営法人・事業所に関する考察と虐待防止に向けた観点
○虐待が発生したグループホームの事業所種別は、
「介護サービス包括型」が 64%、
「日中サー
ビス支援型」が 34%、
「外部サービス利用型」が 2%(図表 7-7)
。他方、令和 6 年 1~3 月期
の全事業所数に占める事業所種別は、
「介護サービス包括型」が 83%、
「日中サービス支援型」
が 8%、
「外部サービス利用型」が 9%(図表 7-8)であるため、
「介護サービス包括型」や「外
部サービス支援型」に比べると「日中サービス支援型」での虐待の発生割合が高くなってい
る。運営法人種別別にみると、
「営利」では、発生した虐待の 56%が「日中サービス支援型」
となっている(図表 7-9)

虐待が発生したグループホームの事業開始年は、
「2020 年代」が 44%、
「2010 年代」が 34%
となっており(図表 7-10)
、運営法人種別別にみると「営利」で発生した虐待の 68%は「2020
年代」となっていることから、営利法人では比較的新しく事業が開始された事業所での虐待
が多くなっている(図表 7-11)

○全国的な福祉人材の不足がある中で、新たに開設された事業所においては、他職種から転職
してきた職員も含まれると考えられる。そのため、事業開始前、または開始後早期に虐待や
権利擁護等に関する研修を実施するとともに、定期的に研修で学んだことをどのように実践
に活かしているかの確認・振り返りが必要と思われる。
また、新たに開設された事業所においては、
(自立支援)協議会への参加を通じて、域内の
事業所相互での自主的な研修や、他事業所への見学等を通じた運営ノウハウを学ぶ機会の創
出等も望まれる。

(2)虐待者に関する考察と虐待防止に向けた観点
○虐待者の職種は「社福」は「生活支援員」と「世話人」で 8 割超を占める。
「営利」や「その
他」では、
「生活支援員」と「世話人」が 5~6 割となっており、
「管理者」や「サービス管理
責任者」による虐待が 2~3 割を占めている(図表 7-21)

虐待者の勤務形態をみると、
「社福」は「正規」が 39%、「非正規」が 51%となっているが、
「営利」や「その他」は、
「正規」が 6 割前後となっている(図表 7-23)。
「管理者」や「サー
ビス管理責任者」による虐待が 2~3 割を占めていることも影響していると考えられる。
○通常、利用者の支援は「生活支援員」や「世話人」が担うが、
「営利」や「その他」において
は、管理者やサービス管理責任者も利用者の支援を行っている可能性がある。本来、管理者
やサービス管理責任者は現場の勤務体制を整え、支援の知識や技術を確認・指導する立場で
あり、そうした体制の確保が求められる。グループホームの利用ニーズは高く、待機者もい
ることから、事業所の増加が必要ではあるものの、新たに開設された事業所において虐待が
発生していることを踏まえると、虐待の未然防止の観点からは、事業拡大ありきではなく、
職員の支援スキルを含めて人員体制や研修体系を整備したうえでの事業開始が望まれる。

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