参考資料7 令和6年度障害者虐待事案の未然防止のための調査研究一式 (134 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59173.html |
出典情報 | 社会保障審議会 障害者部会(第147回 6/26)《厚生労働省》 |
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障害者支援施設において発生した虐待事例を対象に、当該施設の概要や虐待者・被虐待者の属
性、事例の概要の集計・分析を行った。以下に、結果の考察と虐待防止に向けた観点を記す。
なお、回答全体を通じて「不明」が多いため、推察が含まれる考察・観点となることに留意い
ただきたい。
○障害者支援施設の運営法人は、1970 年代や 1980 年代に設立されており、居住支援系以外に
も様々な障害福祉サービスの提供を行っている(図表 7-50,51)。また、運営している障害者
支援施設の定員数は、
「31~49 名」が 31%、
「51~100 名」が 25%、
「50 名」が 20%となって
おり(図表 7-53)
、職員数も定員数に連動して幅広い回答となっている(図表 7-54)
。
その中で虐待者の当該施設での勤務年数を見ると、「不明」が 46%を占めているが、残り
の回答を見る限り、勤務年数に限らず虐待が発生している(図表 7-62)。研修の受講状況も
「不明」が 46%を占めるが、研修の受講「あり」が 47%、「なし」は 6%となっている(図
表 7-64)ことから、新人や未経験者だけでなく、研修を受けた勤務年数の長い職員における
虐待も含まれていることが見て取れる。
○被虐待者の計画相談支援の利用状況は、
「不明」が 45%を占めているが、
「別法人・別団体の
計画相談を利用」は 15%に留まり(図表 7-73)、日中活動等での外部法人のサービスの利用
状況においても、
「不明」が 41%を占めているが、
「利用なし」が 57%、「別法人・団体のサ
ービスを利用」は 2%となっている(図表 7-74)。虐待の未然防止の観点からは、実習生やボ
ランティアの受入れ、施設見学の受入れ等、外部の目が入る取組を推進することが重要であ
ると考えられる。
なお、障害者支援施設及び共同生活援助において義務付けられた、
「地域連携推進会議」の
開催及び会議の構成員が事業所を見学する機会の設置も、外部の目を入れる一助になると考
えられる。
○虐待が発生した時間帯は、
「不明」が 18%を占めるが、時間帯に限らず虐待が発生している
状況であり、
「時間帯関わらず常態化」も 15%となっており、「【居住支援】就寝時」も 13%
となっている(図表 7-76)
。
虐待の「常態化」は早期発見・早期対応ができていないことを示すものであり、虐待防止
措置の推進による通報義務の徹底が望まれる。また、虐待と判断した根拠では、
「虐待した職
員の自供」が 68%と最も割合が高いが、次いで「虐待を目撃した職員の証言」が 55%となっ
ており、事実の特定につながる客観的情報の重要性を周知する必要がある(図表 7-81)
。
○以上の結果を踏まえると、障害者支援施設は歴史もあり、虐待者の研修受講状況からも、図
表 7-83「虐待の発生した背景として、特に組織的課題として考えられること」の回答におい
て、
「研修がされていない、外部研修へ参加する機会が与えられていない」は 28%に留まっ
ていることからも、研修機会は一定程度確保されていると推測される。
しかし、勤務年数の長い職員による虐待が一定程度発生していることや、どの時間帯におい
ても虐待が発生していること、被虐待者のうち何らかの行動障害がある方が 58%(図表 772)を占めることなどを踏まえると、事例検討のグループワークや実地のアセスメント・プ
ランニング等、施設内外でのさらなる研修の充実化・高度化を進め、強度行動障害への支援
力の強化を含め、高度な支援スキルを持つ職員の育成が望まれる。
○また、居住支援の時間帯(帰宅~出勤までの時間帯)での虐待をみると、
「【居住支援】就寝
時」は「性的虐待」が 40%となっており、前後の時間帯に比べると割合が高くなっているこ
とから(図表 7-80)
、夜間支援における同性介助や複数対応の確保、夜勤者とは別の勤務者
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